採用戦略

採用担当者がいない会社はどうする?中小企業の採用の進め方

公開:2026/8/17 更新:2026/8/17 著者:水野徹哉
採用担当者がいない中小企業で採用業務を整理するイメージ

採用担当者がいない中小企業向けに、採用業務を「決める・動かす・向き合う」に分け、社内の役割分担、外部化の考え方、専任化を検討するタイミングまで解説します。

「採用したいけれど、専任の採用担当者がいない」「総務や経営者がほかの仕事と兼務している」という会社もあります。

Indeed Japanが2021年に実施した「採用担当者の業務実態」に関する調査では、採用担当者の72.4%が採用・人事以外の業務も兼務していました。専任担当者がいない、あるいは採用以外の業務と兼務していること自体は、特殊な状況とはいえません。

だからといって、総務など一人に採用を丸ごと任せればよいわけでもありません。

採用には、求人掲載や応募者への連絡だけでなく、「なぜ採用するのか」「どんな人を採用するのか」「何を任せるのか」といった判断もあります。

専任担当者がいない会社では、「誰を採用担当者にするか」より先に、採用に必要な仕事を分けて、それぞれ誰が担当するかを決めることから始めます。

この記事では、専任の採用担当者がいない中小企業を想定し、採用をどのように整理し、進めればよいのかを解説します。

採用担当者がいなくても、採用活動は進められる

専任の採用担当者がいないことだけで、採用活動ができなくなるわけではありません。

採用人数や募集職種、採用活動の頻度によっては、経営者や総務、人事、現場責任者などが役割を分担して進めることもできます。

問題になりやすいのは、採用に必要な役割が曖昧なまま「採用のことは○○さんに任せています」という状態になっていることです。

たとえば、

  • どんな人を採用するのか、誰が決めるのか
  • 給与や勤務条件を誰が決めるのか
  • 求人票を誰が作るのか
  • 応募者には誰が連絡するのか
  • 面接は誰が担当するのか
  • 採用するかどうかを誰が判断するのか

が決まっていなければ、一人を採用担当者に決めても採用は進みにくくなります。

まず「担当者」という人から考えるのではなく、採用に必要な仕事から整理してみましょう。

まず、採用で必要な仕事を3つに分ける

採用業務は、大きく**「決める」「動かす」「向き合う」**の3つに分けると整理しやすくなります。

1.採用について「決める仕事」

最初に、会社として判断する仕事があります。

たとえば、

  • なぜ今、人を採用するのか
  • どんな仕事を任せるのか
  • どのような経験・スキルが必要なのか
  • 給与や働き方をどうするのか
  • 最終的に誰を採用するのか

といった内容です。

「営業経験者を採用したい」だけでは、具体的な求人を作ることはできません。

新規営業なのか既存営業なのか、どのような顧客を担当するのか、入社後に何を期待するのかによって、採用したい人物は変わります。

採用目的や仕事内容については、実際の経営課題や現場を理解している経営者・現場責任者が判断に関わる必要があります。

2.採用を「動かす仕事」

決めた内容を実際の採用活動へ落とし込む仕事です。

たとえば、

  • 求人票を作成・更新する
  • 求人媒体へ掲載する
  • 人材紹介会社と連絡する
  • スカウトを送る
  • 応募者へ連絡する
  • 面接の日程を調整する
  • 選考状況を管理する

といった業務があります。

この領域は、兼任担当者が担うだけでなく、ツールや外部サービスを活用しやすい部分でもあります。

3.候補者と「向き合う仕事」

採用では候補者との直接的なコミュニケーションも必要です。

  • カジュアル面談
  • 面接
  • 仕事内容の説明
  • 会社やチームについての説明
  • 候補者からの質問への回答

などが該当します。

必ず社長がすべて担当する必要はありません。

仕事内容については現場責任者、会社の方向性については経営者など、候補者が知りたいことを具体的に説明できる人が関わる体制を考えます。

採用担当者がいない会社の役割分担
01

決める

採用目的・ターゲット・仕事内容・条件

経営者・現場責任者
02

動かす

求人掲載・応募対応・スカウト・日程調整・進捗管理

兼任担当者・ツール・外部支援
03

向き合う

面談・面接・仕事内容や会社の説明

経営者・現場責任者

採用業務を、経営者や現場が中心となる「決める」、兼任担当者・ツール・外部支援も活用できる「動かす」、経営者や現場が候補者と対話する「向き合う」に分けた図。

求人を出す前に、最低限5つを決める

採用担当者がいないと、「まず求人媒体に掲載しよう」と採用手法から考えやすくなります。

しかし、媒体を選ぶ前に次の5点を整理しておくと、その後の判断がしやすくなります。

1.誰を採用するのか

「営業経験者」「ITに詳しい人」といった大まかな条件ではなく、

  • どのような仕事を経験している人か
  • 入社後に何を任せたいのか
  • 入社時点で必要な条件は何か
  • 入社後に覚えてもらえばよいことは何か

を整理します。

必須条件と歓迎条件を分け、「本当に入社時点で必要なのか」を確認することも必要です。

2.どんな仕事を任せるのか

社内では通じる役職名でも、候補者には仕事内容が分からない場合があります。

どの部署で、誰と、どのような業務を担当し、入社後に何を期待するのかを説明できる状態にします。

3.どの条件なら採用できるのか

給与、勤務地、勤務時間、働き方なども確認します。

自社内の基準だけではなく、必要に応じて競合する求人と比較し、採用したい人から自社の条件がどう見えるかを確認します。

4.どうやって候補者と出会うのか

ここまで整理してから、採用チャネルを検討します。

候補としては、

  • 求人媒体
  • 人材紹介
  • スカウト
  • ハローワーク
  • リファラル採用

などがあります。

すべての会社・職種に共通する「最もよい採用方法」があるわけではありません。

採用したい人に接点を持ちやすい方法を選びます。

5.社内で誰が担当するのか

最後に、採用活動の担当を割り振ります。

たとえば、

  • 採用条件の最終判断:経営者
  • 仕事内容・必要スキルの整理:現場責任者
  • 求人掲載・応募者対応:兼任担当者
  • 面接:現場責任者・経営者

といった形です。

一人がすべてを担当する必要はありません。

兼任でも採用を止めないために、窓口と対応ルールを決める

役割を分けても、誰も進捗を管理していなければ採用活動は止まります。

専任担当者を置けない場合でも、採用の窓口となる人は決めておくと管理しやすくなります。

窓口担当者が、すべての採用判断をする必要はありません。

たとえば、

  • 新しい応募を確認する
  • 書類確認を担当者へ依頼する
  • 面接の日程を調整する
  • 誰の判断待ちになっているか確認する

といった交通整理を担当します。

あわせて、

  • 応募を誰が確認するのか
  • 書類を誰が判断するのか
  • 面接候補日を誰が出すのか
  • 次のアクションは何か

を関係者が確認できる状態にしておきます。

最初から大規模な採用管理システムを導入する必要はありません。採用人数や応募数が増え、管理が難しくなった段階でツールを検討してもよいでしょう。

体制を整えても応募が集まらない場合は、求人を出しても応募が来ない原因を段階ごとに確認できます。

自社で抱えきれない仕事は、効率化・外部化を検討する

採用担当者がいないからといって、必ず採用代行やRPOを利用する必要があるわけではありません。

採用業務を分解したうえで、自社だけでは負担が大きい部分を確認します。

たとえば、

  • 日程調整
  • 応募者管理
  • 定型的な連絡
  • 求人情報の管理

などは、ツールで効率化できる場合があります。

外部の採用支援会社には、

  • 求人票作成の支援
  • スカウト運用
  • 候補者への連絡
  • 面接の日程調整
  • 採用施策の分析

などを依頼できる場合があります。

一方、

  • なぜ採用するのか
  • 誰を採用するのか
  • 何を任せるのか
  • どの条件まで提示できるのか
  • 最終的に採用するか

といった会社としての判断まで、外部任せにはできません。

「外注するか、しないか」ではなく、「何を自社で持ち、何を外に出すか」から考えると整理しやすくなります。

専任の採用担当者を置いた方がよいケースもある

専任担当者がいなくても採用活動はできますが、「採用担当者は必要ない」という意味ではありません。

次のような状態になってきたら、現在の兼務体制を見直す余地があります。

採用する人数・職種が増えてきた

複数の職種を同時に募集すると、求人管理、応募者対応、人材紹介会社との連絡、面接調整なども増えます。

一時的に1名を募集する場合と、複数職種を継続的に募集する場合では必要な体制が異なります。

採用活動が常時発生している

年間を通じて採用する会社では、応募者対応だけでなく、求人改善や採用チャネルの見直しなども継続的に発生します。

兼務では管理しにくくなっているなら、専任担当者や明確な採用責任者を置くことも選択肢です。

兼任担当者の本業に支障が出ている

採用によって、

  • 本来の業務が進まない
  • 応募者対応が繰り返し遅れる
  • 採用状況を把握できない

といった状態になっているなら、現在の体制が持続可能か確認します。

専任担当者を置く、外部支援を利用する、ツールで効率化するなど、負担の原因に合わせて対策を選びます。

採用担当者がいない会社が、まずやること

最初からすべてを整える必要はありません。

まずは次の順番で整理してみてください。

1.なぜ採用するのかを決める 今、人を増やす理由を整理する。

2.誰に、何を任せるのかを決める 採用したい人物と仕事内容を具体化する。

3.採用業務を分ける 「決める・動かす・向き合う」に整理する。

4.社内の役割を決める 経営者・現場責任者・兼任担当者がどこを担当するか決める。

5.採用方法を選ぶ ターゲットに合わせて求人媒体、人材紹介、スカウトなどを検討する。

6.負担の大きい部分を効率化・外部化する すべてを外注するのではなく、必要な部分から見直す。

求人媒体を選ぶことより先に、採用活動を誰がどう進めるのかを決めることが出発点です。

まとめ|採用担当者がいないなら、「誰が何をするか」から整理する

専任の採用担当者がいない会社でも、採用活動を進めることはできます。

まず採用に必要な仕事を、

  • 決める
  • 動かす
  • 候補者と向き合う

に分け、経営者・現場責任者・兼任担当者などの役割を決めます。

そのうえで、採用したい人物や仕事内容を整理し、求人媒体、人材紹介、スカウトなど必要な方法を選びます。

自社だけでは負担の大きい業務があれば、ツールや外部支援を利用することも選択肢です。反対に、採用人数や職種が増えて兼務体制では対応しきれなくなっているなら、専任担当者を置くことも検討します。

「採用担当者がいないから採用できない」のではなく、採用に必要な役割を整理する。

そこから、自社に合った採用体制を考えていきましょう。

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