求人・集客

求人票の福利厚生の書き方|項目例・NG例とハローワークでの記載ポイント

公開:2026/9/3 更新:2026/9/3 著者:水野徹哉
求人票の福利厚生を制度名・内容・対象条件・金額や範囲の4つの観点から具体化する流れを示した図解

求人票の福利厚生は「福利厚生充実」「住宅手当あり」だけでは伝わりません。制度名・内容・対象条件・金額などの具体化方法、社会保険や手当との整理、ハローワークでの記載場所、NG例を採用担当者向けに解説します。

目次を開く

求人票で「福利厚生充実」「各種社会保険完備」「住宅手当あり」とだけ書いていないでしょうか。

制度があること自体は重要ですが、これだけでは求職者は「自分も利用できるのか」「どのような条件があるのか」「いくら支給されるのか」まで判断できません。

求人票の福利厚生は、制度を多く並べることよりも、候補者が入社後の利用イメージを持てる情報に具体化することが重要です。

この記事では、求人票の福利厚生に何を書くのか、どこまで具体化するのか、社会保険や各種手当とどう整理するのか、ハローワークではどこに記載するのかを具体例とともに解説します。

求人票の福利厚生は「制度名だけ」で終わらせない

福利厚生を書くときは、次の4つに分けて考えると整理しやすくなります。

  1. 制度名:何の制度なのか
  2. 内容:会社が何を支援するのか
  3. 対象者・利用条件:誰が、どのような条件で利用できるのか
  4. 金額・回数・範囲:いくら、年何回、どこまで支援するのか

4つすべてを必ず求人票へ書かなければならないという意味ではありません。

ただし、候補者の判断材料として考えるなら、「制度あり」で止めず、実態に合わせて可能な範囲まで具体化した方が伝わりやすくなります。

たとえば、

資格取得支援制度あり

だけでは、何を会社が支援するのか分かりません。

実際の制度が次の内容であれば、

資格取得支援制度:業務に必要な対象資格について受験費用を会社が負担。対象資格は社内規程による。

と具体化できます。

上限額や利用回数が決まっており、公開できるのであれば、その情報も候補者の判断材料になります。

大切なのは文章を長くすることではありません。「自分が入社した場合はどうなるのか」を判断するために必要な情報を残すことです。

求人票で整理したい待遇・福利厚生の主な項目

求人情報では、社会保険、各種手当、休暇制度、研修制度などがまとめて「待遇・福利厚生」と表現されることがあります。

ただし、それぞれ性質は異なります。

すべてを一つの「福利厚生欄」にまとめるのではなく、何の情報なのかを整理したうえで求人票へ反映しましょう。

社会保険・労働保険の適用

求人票では、主に次の保険の適用状況を確認します。

  • 健康保険
  • 厚生年金
  • 雇用保険
  • 労災保険

募集時には、業務内容や賃金、労働時間などとともに、労働条件を正確に明示する必要があります。

2024年4月からは、募集時等に明示すべき事項として「従事すべき業務の変更の範囲」「就業場所の変更の範囲」「有期労働契約を更新する場合の基準」も追加されています。

法律上確認すべき項目全体については、求人票の必須項目とは?2024年改正・固定残業代・NG表現まで解説で詳しく整理しています。

住宅・通勤・家族などの各種手当

企業によっては、

  • 住宅手当
  • 家族手当
  • 通勤手当
  • 資格手当

などを支給している場合があります。

これらは候補者にとって待遇を判断する情報ですが、企業側では賃金として支払う手当でもあります。

「福利厚生として魅力的だから書く」という視点だけでなく、

  • 誰が対象か
  • 金額はいくらか
  • どのような条件で支給するか
  • 賃金規程と一致しているか

まで確認しましょう。

健康・休暇に関する制度

給与へ直接上乗せされない制度にも、候補者へ伝えられる情報があります。

たとえば、

  • 人間ドック受診費用の補助
  • 病気休暇
  • 病気休職制度
  • 慶弔休暇
  • 特別休暇

などです。

「目立つ福利厚生がないから書くことがない」と考える前に、自社ですでに運用している健康・休暇関連の制度がないか確認してみましょう。

育児・介護・柔軟な働き方

企業によっては、

  • 短時間勤務
  • 時差出勤
  • テレワーク
  • 育児との両立支援
  • 介護との両立支援

などを用意している場合もあります。

ここでも、

育児支援制度あり

だけでは具体的な内容が分かりません。

実際に短時間勤務や時差出勤を利用できるのであれば、制度名まで示した方が候補者は働き方をイメージしやすくなります。

育児・介護に関する法定制度と、会社独自の支援制度がある場合は、区別して記載しましょう。

研修・資格取得・キャリア支援

研修や資格取得支援も、入社後の成長環境を判断する材料になります。

たとえば、

  • 資格取得費用の補助
  • 外部研修費用の補助
  • 書籍購入補助
  • 社内研修
  • 自己啓発支援

などです。

「教育制度充実」とまとめるより、実際に何を利用できるのかを示した方が情報として役立ちます。

求人票の福利厚生の書き方

ここからは、福利厚生や各種手当の記載例を見ていきます。

以下の金額や条件は書き方を説明するための例です。実際の求人票には、自社の制度・規程に沿った内容を記載してください。

住宅手当

情報が不足している例

住宅手当あり

これでは、全員が対象なのか、賃貸住宅だけなのか、金額はいくらなのかが分かりません。

改善例

住宅手当:賃貸住宅の世帯主を対象に月20,000円支給

実際の制度で対象者や支給額が決まっているなら、その条件まで具体化します。

家族手当

情報が不足している例

家族手当あり

改善例

家族手当:扶養する配偶者・子どもを対象に、社内規程に基づき支給

金額まで公開できる場合は、対象者とあわせて示すとさらに分かりやすくなります。

通勤手当

改善例

通勤手当:実費支給(上限月30,000円)

上限や交通手段、距離などによって支給条件が異なる場合は、社内規程との整合も確認します。

資格取得支援

情報が不足している例

資格取得支援制度あり

改善例

資格取得支援:業務に必要な対象資格について、受験費用を会社が負担

受験料だけなのか、教材費や講習費まで含むのかによって制度の内容は変わります。

可能であれば、会社が支援する範囲まで示しましょう。

健康支援

改善例

人間ドック補助:35歳以上の従業員を対象に、年1回受診費用の一部を補助

対象年齢、回数、補助範囲など、実際に決まっている条件を記載します。

育児支援・柔軟な働き方

情報が不足している例

育児支援制度あり

改善例

育児との両立支援として、短時間勤務・時差出勤制度を導入。利用条件は社内規程による。

テレワークなども利用できる場合は追加できますが、実際には利用できない制度まで並べる必要はありません。

「福利厚生充実」だけでは伝わりにくい3つの理由

「福利厚生充実」という表現だけで求人票を終えると、候補者の判断材料が不足しやすくなります。

何が利用できるのか分からない

「充実している」は企業側から見た評価です。

候補者が知りたいのは、自分が働いた場合に何を利用できるのかです。

制度名を具体的に示すだけでも、「福利厚生充実」だけより情報量は増えます。

自分が対象なのか判断できない

同じ住宅手当でも、

  • 全社員が対象
  • 世帯主のみ
  • 賃貸住宅のみ
  • 転居を伴う入社のみ

では意味が大きく異なります。

制度の有無だけでなく、対象条件まで確認できると候補者は自分に当てはめて判断しやすくなります。

入社後の認識ギャップにつながる

求人票では利用できるように見えたものの、入社後に「実際は対象外だった」と分かれば、認識のずれにつながります。

福利厚生についても、多く見せることより、現在の実態を正確に伝えることを優先しましょう。

各種手当を書くときは「福利厚生」だけで考えない

住宅手当や家族手当、通勤手当などは、候補者にとって魅力の一部である一方、企業側では賃金制度の一部でもあります。

求人票を作成するときは、福利厚生の紹介文だけで完結させず、賃金に関する記載との整合を確認してください。

支給条件を賃金規程と照合する

少なくとも、

  • 手当の名称
  • 支給対象
  • 支給金額
  • 支給条件

が現在の制度と一致しているか確認します。

長く掲載している求人では、制度変更後も古い条件が残っていることがあります。

担当者の記憶だけで書かず、賃金規程や就業規則、現在の運用まで確認しましょう。

なお、各種手当が割増賃金の計算上どのように扱われるかは、名称だけでは判断できません。制度設計や賃金計算に不明点がある場合は、社会保険労務士などの専門家への確認を検討してください。

ハローワーク求人では福利厚生をどこに書く?

ハローワーク求人では、福利厚生に関連する情報をすべて一つの欄へまとめる仕組みではありません。

情報の性質に応じて、専用項目や補足欄を使い分けます。

情報主に確認する場所
健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険加入保険等
住宅手当・家族手当など賃金・手当の項目
退職金退職金制度
福利厚生・研修制度の補足求人に関する特記事項など
会社全体の福利厚生・研修制度のPR事業所PR情報

専用項目がある情報は該当する場所へ記載する

ハローワークの事業所情報には、「加入保険等」「企業年金」「退職金制度」などの項目があります。

また、求人情報の賃金欄には「基本給」「定額的に支払われる手当」「固定残業代」「その他の手当等付記事項」などがあります。

各種手当を福利厚生の説明だけにまとめるのではなく、該当する賃金項目との整合を確認しましょう。

「求人に関する特記事項」は補足に活用する

ハローワークは、福利厚生や研修制度等の補足情報も求人内容を伝える材料として案内しています。

専用項目だけでは伝えにくい、

  • 資格取得支援
  • 研修制度
  • 手当を含む支給例
  • その他の補足条件

などについて、「求人に関する特記事項」等を活用できます。

ただし、専用項目へ入力すべき情報まで特記事項だけにまとめるのではなく、基本項目を正確に入力したうえで補足に使うと整理しやすくなります。

事業所PR情報は求人票本体には表示されない

ハローワークの「事業所PR情報」には、「福利厚生・研修制度」を入力できます。

人間ドック補助、余暇活動支援、社内研修、資格取得補助などを登録できるため、会社全体の制度を伝える用途に使えます。

ただし、ハローワークインターネットサービスによると、事業所PR情報はハローワークインターネットサービスや「求人・事業所PRシート」には表示されますが、求人票そのものには表示されません。

「入力したから求人票本体にも表示されている」と思い込まず、公開後に実際の表示を確認しておきましょう。

福利厚生を書く前に確認したい5項目

求人票を公開する前に、次の5点を確認してみてください。

1. 現在も実際に利用できる制度か

以前は存在していたものの、現在は廃止・変更されていないか確認します。

長期間使い回している求人票ほど注意が必要です。

2. 今回募集する人が対象なのか

正社員のみなのか、雇用形態によって異なるのか、勤続期間などの条件があるのかを確認します。

「会社に制度があること」と「今回採用する人が利用できること」は同じではありません。

3. 金額・回数・上限を確認したか

住宅手当、通勤手当、資格取得補助などは、金額や利用回数、上限が決まっている場合があります。

公開できる範囲で具体化します。

4. 就業規則・賃金規程と一致しているか

求人票だけ条件が古くなっていないか、担当者の認識と社内規程が異なっていないか確認します。

5. 候補者が利用イメージを持てるか

最後は候補者の立場で読み直します。

住宅手当あり

と読んで、

自分は対象なのか?

という疑問が残るのであれば、もう一段具体化できないか検討しましょう。

福利厚生を見直すなら、健康・休暇・生活支援も確認する

福利厚生というと、他社にはない珍しい制度を増やした方がよいと考えるかもしれません。

しかし、福利厚生の価値は目新しさだけではありません。

労働政策研究・研修機構(JILPT)が2017年に実施し、2020年に公表した従業員調査では、「自分にとって特に必要性が高いと思う福利厚生」として人間ドック受診の補助が21.8%で最も高く、続いて慶弔休暇制度、家賃補助や住宅手当、病気休暇制度、病気休職制度などが挙げられています。

これは求職者だけを対象にした転職意向調査ではないため、「この制度を書けば応募が増える」とまでは言えません。

一方で、健康管理、休暇、住宅などの制度も従業員にとって必要性のある福利厚生として挙げられていることは確認できます。

採用のために新しい制度を増やす前に、すでに会社にある制度が求人票で十分に伝わっているかを確認してみましょう。

福利厚生だけ直しても応募が増えるとは限らない

福利厚生を具体的にすることは、求人票を改善する一つの方法です。

ただし、福利厚生を書き直せば必ず応募が増えるわけではありません。

応募までには、たとえば、

求人が表示される → 求人詳細を見てもらう → 応募してもらう

という段階があります。

そもそも求人がほとんど表示されていないのであれば、福利厚生を書き直しても候補者には届きません。

求人を見られているのに応募されていない場合でも、

  • 求人タイトル
  • 仕事内容
  • 給与
  • 勤務条件
  • 求める人物像
  • 採用ターゲット
  • 利用している採用チャネル

など、ほかの要因も考えられます。

仕事内容の具体化については、求人票の仕事内容の書き方|求職者に伝わる内容・具体例と見直しポイントで解説しています。

また、求人を掲載しても応募が来ない場合の確認順は、求人を出しても応募が来ない原因は?求人票を直す前に確認したいポイントで整理しています。

福利厚生だけを何度も書き換えるのではなく、必要に応じて求人全体や採用ファネルまで確認範囲を広げてみてください。

まとめ|福利厚生は「ある」ではなく「使える条件」まで伝える

求人票の福利厚生では、制度をたくさん並べることより、候補者が入社後の働き方を判断できるよう具体的に伝えることが重要です。

特に確認したいのは、次の点です。

  • 制度名だけで終わらず、内容・対象・条件を示す
  • 社会保険、各種手当、会社独自の福利厚生を整理する
  • 手当は賃金欄や賃金規程との整合を確認する
  • ハローワークでは情報の性質に合わせて入力項目を使い分ける
  • 求人票と現在の社内制度を一致させる

「福利厚生充実」という言葉を増やすのではなく、候補者が「自分がこの会社で働いた場合」を具体的に想像できる情報になっているかを確認してみてください。

自社の状況を整理する

STEP 1 相談テーマを選ぶ
会社名・個人名など、特定につながる情報は入力しないでください(3,000文字以内)。

使用ソース・参考情報