内定承諾率とは?計算方法・平均の見方と低いときの改善ポイント

内定承諾率の計算方法、平均値を見るときの注意点、新卒・中途の公開データ、承諾率が低いときの原因の切り分け方と改善ポイントを採用担当者向けに解説します。
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「内定は出せているのに、なかなか承諾につながらない」
このようなときに確認したいのが、内定承諾率です。
内定承諾率を出せば、内定を提示した候補者のうち、どれくらいが入社意思を示しているのかを数値で確認できます。
ただし、注意したいのが「平均○%なら問題ない」と単純に判断しないことです。
新卒と中途では採用の構造が異なります。また、公開されている「内定辞退率」も、企業側の内定者数を分母とする調査と、学生の内定辞退経験を測る調査では意味が違います。
そのため、内定承諾率は、
自社で同じ定義の数値を継続して見る → 職種・チャネルなどで分ける → 条件の近い外部データを参考にする
という順で見ることが重要です。
この記事では、内定承諾率の計算方法、公開されている平均データの読み方、承諾率が低いときに確認したい原因と改善の進め方を解説します。
内定承諾率とは?
内定承諾率とは、企業が内定を提示した候補者のうち、内定を承諾した人の割合です。
基本的な計算式は次のとおりです。
内定承諾率(%)= 内定承諾者数 ÷ 内定提示者数 × 100
たとえば、10人に内定を出し、そのうち7人が承諾した場合は、
7 ÷ 10 × 100 = 70%
となります。
採用活動を、
応募 → 書類選考 → 面接 → 内定 → 承諾 → 入社
と分けたとき、内定承諾率は「内定から承諾」までの歩留まりを見る指標です。
採用プロセス全体の歩留まりについては、採用の歩留まりとは?計算方法・平均の見方と改善ポイントで詳しく解説しています。
内定辞退率とは分母をそろえて比較する
企業が自社で管理する場合、内定辞退率は一般に、
内定辞退率(%)= 内定辞退者数 ÷ 内定提示者数 × 100
で計算できます。
すべての候補者について「承諾」か「辞退」かが確定していて、両方の分母が同じであれば、
内定承諾率 + 内定辞退率 = 100%
になります。
ただし、採用活動の途中では、
- 回答待ち
- 承諾後の辞退
- 入社前の辞退
なども発生します。
たとえば20人へ内定を出し、
- 承諾:14人
- 辞退:4人
- 回答待ち:2人
なら、その時点の内定承諾率は70%、辞退率は20%です。
「100%-辞退率」で計算すると80%になり、実際の承諾率とは一致しません。
集計時点と候補者の状態を決めたうえで計算する必要があります。
「就職内定辞退率」は内定承諾率と同じ指標とは限らない
外部データを見る際は、名称だけで判断しないことも重要です。
たとえば、就職みらい研究所の「就職プロセス調査」における「就職内定辞退率」は、
内定辞退経験がある学生数 ÷ 内定取得経験がある学生数
で計算されています。
つまり、「内定100件のうち何件が辞退されたか」という企業側の歩留まりではありません。
内定を複数社から得た学生が、そのうち1社でも辞退していれば「辞退経験あり」に含まれます。
このように、同じ「内定辞退率」という言葉でも分母と分子が違うため、外部データを見るときは指標の定義まで確認する必要があります。
内定承諾率の平均は何%?
結論からいうと、新卒・中途を問わず、どの企業でもそのまま目標にできる一律の「平均内定承諾率」は置かない方が安全です。
現在公表されている主要な調査でも、
- 対象が新卒か中途か
- 企業調査か候補者調査か
- 内定承諾を直接測っているか
- 採用・入社までを見ているか
- 調査時点がいつか
が異なります。
参考にする場合は、数値だけでなく調査の定義をセットで確認します。
| Source・対象 | 公開されている数値 | 指標の意味 | 内定承諾率として見るときの注意 |
|---|---|---|---|
| マイナビ・2025年中途採用実績 | 内定辞退率15.0% | 内定者数平均と採用者数平均から算出 | 参考換算では85.0%相当だが、内定承諾者数を直接集計した「承諾率」ではない |
| マイナビ・51〜300名の中途採用企業 | 内定辞退率18.9% | 同上 | 企業規模によって数値が異なる |
| 就職みらい研究所・2026年卒学生 | 就職内定辞退率64.5% | 内定取得経験者のうち、辞退経験がある学生の割合 | 100%から引いて「承諾率35.5%」とはできない |
| マイナビ・2026年卒企業調査 | 内定辞退率5割以上の企業が41.5% | 各企業の辞退率の分布 | 41.5%が平均辞退率という意味ではない |
中途採用では2025年の内定辞退率が15.0%
マイナビ「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」では、中途採用業務を担当する人事担当者を対象とした調査で、2025年の内定辞退率は15.0%でした。
2024年は9.3%だったため、5.7ポイント上昇しています。
また、従業員規模別では51〜300名の企業が18.9%となっています。
ただし、この調査の内定辞退率は、回答企業の「内定者数平均」と「採用者数平均」を用いて算出された指標です。
そのため、
「中途採用の平均内定承諾率は必ず85%」
と置くのではなく、中途採用市場を把握する参考データとして使う方が適切です。
自社と比較するなら、企業規模だけでなく職種・地域・採用方法などの違いも考慮します。
新卒採用は「内定辞退率」の定義が調査によって異なる
新卒では、さらに注意が必要です。
就職みらい研究所の2026年卒「就職プロセス調査」では、卒業時点の就職内定辞退率は64.5%でした。
ただし、これは先ほど説明したとおり、
「内定を取得した学生のうち、内定を辞退した経験がある学生の割合」
です。
1人の学生が3社から内定を得て2社を辞退し、1社へ入社する場合も「辞退経験あり」に含まれます。
したがって、この64.5%を100%から引いて、新卒企業の平均内定承諾率を35.5%とすることはできません。
一方、マイナビの企業新卒内定状況調査では、
2026年卒で「内定辞退率が5割以上」となった企業が41.5%
でした。
こちらは企業側の内定辞退状況を見たデータですが、41.5%は「企業の平均辞退率」ではなく、「辞退率が5割以上だった企業の割合」です。
新卒の平均値を確認するときほど、数値の定義を確認する必要があります。
自社の内定承諾率は平均より先に4つの条件をそろえる
外部の平均値を見る前に、自社の内定承諾率を比較できる状態にします。
特にそろえたいのは、
- 集計期間
- 採用区分・職種
- 採用チャネル
- 候補者のステータス
です。
1.集計期間をそろえる
9月に内定を出した人と10月に内定を出した人が混在し、まだ回答待ちの候補者まで分母に入っていると、期間によって内定承諾率が変わります。
たとえば、
- 内定提示月
- 採用開始月
- 四半期
- 採用年度
など、同じ単位で追跡します。
採用数が少ない企業では、月ごとだと1人の辞退だけで数値が大きく動きます。
その場合は率だけでなく、
「内定10人、承諾7人」
のように実人数も併記してください。
2.新卒・中途、職種を分ける
会社全体の内定承諾率だけでは、どこに問題があるか判断しにくくなります。
たとえば、
- 新卒採用
- 営業職
- エンジニア職
- 管理職
では、候補者が比較する企業や条件が異なります。
営業職の承諾率が80%、エンジニア職が50%なら、全社平均65%だけを見るより、職種ごとに確認した方が改善対象を特定しやすくなります。
3.採用チャネルを分ける
同じ職種でも、
- 求人媒体
- 人材紹介
- ダイレクトリクルーティング
- リファラル
では、候補者が企業を知った経緯や応募時点の志望度が異なります。
会社全体で承諾率が下がっていても、特定のチャネルだけで低下している可能性があります。
最低でも、
期間 × 職種 × チャネル
まで分けられると、原因を探しやすくなります。
4.承諾後辞退を別で管理する
内定を一度承諾しても、入社前に辞退する場合があります。
この候補者を後から「未承諾」に変更してしまうと、
- 内定時点では承諾されたのか
- 承諾後に何が起きたのか
が分からなくなります。
実務上は、
内定 → 承諾 → 入社
を別の工程として持ち、
- 内定承諾率
- 承諾後辞退率
- 入社率
を分けて管理する方が原因を確認しやすくなります。
内定承諾率が低いときは原因を4つに分ける
内定承諾率が低いときに、すぐ「内定者フォローを増やそう」と決める必要はありません。

辞退理由によって、見直す場所が変わるためです。
まずは、
- 条件・仕事内容
- 他社との比較
- 面接・選考体験
- 情報不足や不安
に分けて確認します。
条件・仕事内容が候補者の希望と合っていない
新卒について、マイナビの2026年卒調査では、企業が把握している内定辞退理由として、
- より志望度の高い企業から内定が出た:49.8%
- 希望職種:17.7%
- 希望勤務地:15.1%
- 給与条件:11.4%
などが挙げられています。
これは「給与を上げれば辞退を防げる」という意味ではありません。
職種や勤務地など、採用担当者だけでは変更できない条件もあります。
確認したいのは、
候補者が選考のどの段階で条件を理解していたか
です。
求人票では勤務地が曖昧で、内定時に初めて具体的な配属先を伝えているのであれば、内定者フォローより前に情報提示のタイミングを見直す必要があります。
他社選考との競合が起きている
候補者は自社だけを受けているとは限りません。
エン・ジャパンが「エン転職」ユーザー8,622人を対象に行った2023年調査では、転職活動で選考辞退をした経験がある人は61%でした。
辞退経験者では、
- 面接前の辞退:46%
- 面接後の辞退:45%
- 内定取得後の辞退:37%
となっています。
これはエン転職ユーザーを対象にしたPlatform Dataであり、中途採用市場全体の割合ではありません。
ただし、内定後だけを見ても遅い可能性を考える材料にはなります。
内定時に初めて、
「他社の最終面接が明日です」
と把握するのではなく、選考中から候補者の意思決定時期や比較軸を確認できているかを見ます。
面接・選考体験に差がある
内定承諾は条件だけで決まるとは限りません。
パーソル総合研究所が、2社以上から内定を得た2024年入社予定の新卒者を対象に行った調査では、面接に対する10点満点の評価は、
- 内定承諾企業:平均8.3点
- 内定辞退企業:平均6.7点
と差がありました。
同調査では、内定承諾企業の方が面接後に社員から感想やアドバイスなどのフィードバックを受けている割合も高い結果でした。
ただし、この調査から、
「面接評価を上げれば必ず内定承諾率が上がる」
とは断定できません。
面接体験が良かったから承諾した可能性だけでなく、もともと志望度が高い企業だから面接も好意的に評価した可能性もあります。
実務では因果を決めつけず、
- 候補者の質問に十分答えられているか
- 面接官によって説明内容が変わっていないか
- 候補者が仕事内容を具体的に理解できているか
- 一方的な見極めだけで面接が終わっていないか
を確認します。
候補者が判断するための情報が不足している
「魅力を伝える情報を増やす」だけでなく、候補者が意思決定するために必要な情報がそろっているかを見ることも重要です。
たとえば、
- 実際の仕事内容
- 入社後に期待される役割
- 上司やチーム
- 評価方法
- 給与・手当
- 勤務地
- 働き方
- キャリア
- 入社後に難しさを感じやすい点
です。
候補者が内定後に初めて重要な条件を知れば、その時点で比較をやり直すことになります。
内定後に説得するのではなく、選考中から候補者が判断できる情報をそろえる方が、採用後のミスマッチも確認しやすくなります。
内定承諾率を改善するときの5ステップ
内定承諾率を改善するときは、施策を増やす前に原因を特定します。
1.内定・承諾・辞退・入社を同じ定義で記録する
最低限、
| 候補者 | 内定日 | 職種 | チャネル | 承諾 | 辞退 | 回答待ち | 入社 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| A | 9/1 | 営業 | 人材紹介 | ○ | ○ | ||
| B | 9/3 | 営業 | 求人媒体 | ○ | |||
| C | 9/5 | 営業 | 人材紹介 | ○ |
という形で確認できるようにします。
率を出すことより、同じルールで記録できる状態をつくることが先です。
2.辞退理由を分類する
「他社に決まった」だけでは、次の改善策を決めにくくなります。
可能であれば、
- 給与・待遇
- 仕事内容
- 勤務地・働き方
- キャリア
- 上司・チーム
- 他社の志望度
- 選考体験
- 選考時期
- その他
などに分類します。
候補者本人から確認できなかった場合は、推測で理由を確定せず「不明」として残します。
3.承諾者と辞退者の違いを見る
辞退者だけを見るのではなく、承諾した候補者とも比較します。
たとえば、
- どのチャネルから来たか
- 最初からの志望度
- 面接回数
- 選考期間
- 提示条件
- 接点を持った社員
- 辞退・承諾時に重視していた条件
を確認します。
「承諾者には共通して現場社員との接点があった」などの差が見つかった場合も、すぐ因果関係とは決めず、次の採用で検証する材料として扱います。
4.内定後ではなく、選考中の情報提供を見直す
辞退理由が仕事内容や条件の認識差であれば、オファー面談を増やすだけでは解決しない場合があります。
求人票、カジュアル面談、面接、内定提示のどこで、
候補者が意思決定に必要な情報を得ているか
を確認してください。
内定後に説明している内容のうち、選考中に伝えた方がよいものがないかを見直します。
5.改善後は入社まで追う
内定承諾率だけを改善指標にすると、候補者へ強く承諾を迫るなど、本来の採用目的とずれた対応につながる可能性があります。
確認したいのは、
内定 → 承諾 → 入社
までつながっているかです。
承諾率が上がっても承諾後辞退が増えていれば、課題が後ろへ移動しただけかもしれません。
内定承諾率と一緒に見たいKPI
内定承諾率は重要ですが、この指標だけでは採用活動全体の良し悪しは分かりません。
少なくとも、次の指標と一緒に確認します。
| KPI | 確認すること |
|---|---|
| 内定数 | 必要な人数へ内定を出せているか |
| 内定承諾率 | 内定から承諾へ進んでいるか |
| 承諾後辞退数・率 | 承諾後に離脱していないか |
| 入社率 | 承諾者が実際に入社しているか |
| 辞退理由 | どの要因で候補者が離れているか |
| 選考期間 | 長期化した採用で辞退が増えていないか |
| 入社後の定着 | 承諾を得ることが目的化していないか |
たとえば、内定承諾率だけが低いなら、内定から承諾までを詳しく見ます。
一方で、
内定率も低い
→ 採用要件や面接まで含めて確認する
承諾率は高いが入社しない
→ 承諾後のプロセスを確認する
承諾・入社するが早期離職する
→ 採用時の情報と入社後の実態のズレを確認する
というように、問題が起きている工程によって見る場所は変わります。
まとめ|内定承諾率は「平均より高いか」より「同じ条件で比較できるか」を見る
内定承諾率は、
内定承諾者数 ÷ 内定提示者数 × 100
で計算します。
計算自体は難しくありません。
注意したいのは、外部で公開されている数値の定義です。
中途採用の調査で示される「内定辞退率」、新卒学生を対象とした「就職内定辞退率」、企業ごとの「内定辞退率」は、同じ名前でも分母や調査対象が異なる場合があります。
そのため、自社の内定承諾率を見るときは、
- 分母・分子と集計期間を決める
- 新卒・中途、職種、チャネルを分ける
- 自社の前年同期など同じ条件と比較する
- 条件の近い外部データを参考にする
- 低い場合は辞退理由から原因を切り分ける
- 承諾後の入社まで確認する
という順で進めてみてください。
目指すのは、内定承諾率という数字だけを高くすることではありません。
採用したい候補者に必要な情報が伝わり、候補者自身が納得して入社を判断できる状態をつくること。その結果を確認する指標の一つとして、内定承諾率を使うことが重要です。


