採用改善

採用コストとは?平均・計算方法と1人あたりの採用単価の見方

公開:2026/9/18 更新:2026/10/2 著者:水野徹哉
採用コストを外部コストと内部コストに分け、採用単価やチャネル別の採用成果と合わせて確認する考え方

採用コストの内訳・計算方法、1人あたりの採用単価、平均値を見るときの注意点を解説。求人媒体や人材紹介などの費用を、応募数だけでなく適格応募・採用までつなげて判断する方法を整理します。

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求人媒体、人材紹介、スカウト、採用サイトなどを利用していると、「1人採用するのに、いくらかかっているのか」が気になることがあります。

ただし、採用コストは「平均より高いか、低いか」だけでは判断できません。

同じ100万円を使った場合でも、1人しか採用できなかった場合と、複数人を採用できた場合では意味が異なります。応募は集まっていても、採用要件に合う人がほとんどいなければ、応募単価だけを見ても実態を捉えられません。

採用コストを見るときは、

いくら使ったか → 何件の応募につながったか → 何件が採用対象になったか → 何人採用できたか

までつなげて確認する必要があります。

この記事では、採用コストと採用単価の違い、計算方法、公開されている平均値の見方から、採用コストが高いときの確認順まで整理します。

採用コストとは?採用単価との違い

採用コストとは、企業が人材を採用するために使った費用の総額を指します。

求人媒体への掲載費や人材紹介の手数料のような社外への支払いだけでなく、採用担当者や面接官が使った時間など、社内で発生するコストもあります。

一方、採用単価は、採用コストを採用人数で割った「1人あたりの採用コスト」として考えると分かりやすくなります。

基本的な考え方は次のとおりです。

採用単価 = 採用コスト総額 ÷ 採用人数

たとえば「今年は採用にいくら使ったか」を確認したいのであれば採用コスト総額を見ます。

一方、「1人採用するためにどの程度の費用がかかったか」「前年やチャネルごとに効率を比較したい」ときは、採用単価まで算出します。

国際的にもCost-Per-Hire(CPH)という指標があり、ISOでは「ISO/TS 30407:2017 Human resource management — Cost-Per-Hire」が公開されています。SHRMもCost-Per-Hireを、求人を充足するために生じた内部・外部のコストを扱う採用指標として整理しています。

ただし、日本国内で「採用コスト」「採用単価」と呼ばれる数字が、すべて同じ費用範囲で計算されているわけではありません。

他社や調査データと比較するときは、計算式だけでなく、分子に何の費用が含まれているかを確認することが重要です。

採用コストの内訳|外部コストと内部コストに分ける

採用コストを把握するときは、まず「外部コスト」と「内部コスト」に分けると整理しやすくなります。

採用コストを外部コストと内部コストに分け、合計額を採用人数で割って1人あたりの採用単価を算出する構造を示した図解
採用コストは、求人媒体費や人材紹介手数料などの外部コストと、採用担当者・面接官の工数などの内部コストに分けて整理し、採用人数で割ることで採用単価を確認できます。
区分主な費用の例
外部コスト求人媒体掲載費、人材紹介手数料、スカウトサービス利用料、採用イベント費、採用サイト制作費、外部委託費、採用管理ツール利用料など
内部コスト採用担当者の工数、現場社員・面接官の選考工数、候補者対応・日程調整の工数など

外部コストは請求書や契約書から把握しやすい一方、内部コストは見落とされやすい部分です。

たとえば、ダイレクトリクルーティングは人材紹介とは料金体系が異なりますが、候補者検索、スカウト対象者の選定、文面作成、送信、返信対応などを自社で行う場合、その時間も採用活動に使っているリソースです。

反対に人材紹介では、外部への支払額が大きくても、候補者探索の一部を紹介会社が担うため、自社の運用工数は異なります。

そのため、チャネルを比較するときに、

外部への支払額だけを比較するのか、社内工数まで含めるのか

を先に決めておく必要があります。

社内で毎月の採用費を管理するだけなら、まず把握しやすい外部費用から始めても構いません。ただし、チャネル同士の負荷まで比較するのであれば、採用担当者や現場が使っている時間も別項目で把握しておくと判断しやすくなります。

採用単価の計算方法

採用単価を計算するときは、最初に対象期間と費用範囲を固定します。

年度単位で比較するのであれば、

年間の採用コスト ÷ 同じ期間の採用人数

で計算します。

ここで重要なのは、前年と今年、あるいはチャネルAとチャネルBで、計算条件を変えないことです。

今年だけ面接官の人件費を含め、前年は求人媒体費だけで計算していれば、数字が変化しても採用効率が変わったのか、計算方法が変わったのか分かりません。

チャネル別の採用単価も確認する

採用全体の単価だけでなく、求人媒体、人材紹介、スカウトなどのチャネルごとに費用と採用人数を分けると、予算配分を判断しやすくなります。

考え方は次のとおりです。

チャネル別採用単価 = そのチャネルにかかった費用 ÷ そのチャネル経由の採用人数

ただし、複数チャネルを経由して応募した候補者や、採用サイト・採用広報のように直接の応募経路を特定しにくい施策もあります。

すべての費用を厳密に1チャネルへ割り振ることより、まずは自社で継続して同じ基準で記録できる状態を作る方が重要です。

採用チャネル自体の特徴や選び方は、採用チャネルとは?主な種類と自社に合う選び方・見直し方でも整理しています。

採用コストの平均はいくら?平均値は条件を確認して見る

採用コストを調べると、新卒・中途それぞれの「平均○万円」という数字が見つかります。

ただし、異なる調査の平均値を、そのまま横並びにして比較することは避けた方がよいでしょう。

調査時期、企業規模、採用人数、対象となる費用が異なるためです。

現在掲載している主な資料を、対象・時点・指標の違いで整理すると次のようになります。金額と回答割合は、同じ指標として比較できません。

Source対象・時点示している数字注意点
就職みらい研究所「就職白書2020」2019年度新卒93.6万円/中途103.3万円2019年度の調査値。現在の相場ではなく、費用範囲などの調査条件も確認する
マイナビ「2024年卒企業新卒内定状況調査」2024年卒採用入社予定者1人あたり56.8万円新卒採用のみ。広告費等の採用経費を対象に、1社ごとの採用費÷入社予定人数の平均を算出
マイナビ「企業人材ニーズ調査2025年版」2025年版調査前年よりコスト増:新卒46.9%/中途44.0%平均金額ではなく、コストが増えたと回答した割合
厚生労働省2021年調査2021年採用手法別の正社員1件当たり平均コスト手法別に集計され、回答数も異なる。現在の市場共通単価ではない

2026年10月2日時点では、より新しい2025年卒・2026年卒の企業新卒内定状況調査も公開されています。ただし、今回確認した公開資料では、2024年卒調査の56.8万円と同じ形の「入社予定者1人あたり採用費平均」の新しい金額は確認できませんでした。

そのため、56.8万円は2024年卒採用の比較材料として残し、2026年時点の現在相場へ読み替えません。最新資料は採用環境やコスト増減の傾向を見る補助材料として使います。新しい平均金額を確認できないことは、採用コストが変わっていないことを意味しません。

なお、マイナビ「2026年卒企業新卒内定状況調査」では、採用活動を振り返る際に「採用費」を確認している企業は全体31.9%でした。これは採用費を振り返りの指標として使う企業の割合であり、採用コストの平均額ではありません。

就職白書2020では新卒93.6万円、中途103.3万円

就職みらい研究所の「就職白書2020」では、2019年度の1人あたり平均採用コストとして、

採用区分1人あたり平均採用コスト
新卒採用93.6万円
中途採用103.3万円

と報告されています。

ただし、これは2019年度の調査値です。

現在の自社コストを「93.6万円より高いから問題」「103.3万円より安いから問題なし」と判断するための現在の基準値ではありません。

マイナビ2024年卒調査では入社予定者1人あたり56.8万円

マイナビ「2024年卒企業新卒内定状況調査」では、入社予定者1人あたりの採用費平均は56.8万円でした。

同調査では採用費について、就職情報サイト・イベント等の広告費、採用ツール作成費、セミナー運営費、アウトソーシング費、インターンシップ費用などを含む「採用経費」として定義しています。

つまり、就職白書2020の93.6万円とマイナビ調査の56.8万円を並べて、

「新卒の採用コストが下がった」

と判断することはできません。

調査年だけでなく、対象企業や費用の定義も異なるためです。

また、マイナビ「企業人材ニーズ調査2025年版」では、前年と比べて1人採用するためのコストが「増えている」と回答した割合が、新卒採用担当者で46.9%、中途採用担当者で44.0%でした。

平均額を探す場合でも、古い平均値を現在の相場として固定せず、公開年と調査条件を確認して使う必要があります。

採用手法別の平均コストも「安い順ランキング」には使わない

厚生労働省が2021年に実施した「採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査」では、正社員の採用1件当たりにかかる平均コストが採用手法別に集計されています。

採用手法正社員1件当たり平均コスト回答数
スカウトサービス91.4万円51
民間職業紹介事業者85.1万円175
インターネットの求人情報サイト28.5万円254
知り合い・社員等からの紹介(縁故)4.4万円99
自社HP等からの直接応募2.8万円150
SNS0.9万円15

この表だけを見ると、SNSや自社サイトが圧倒的に安く見えます。

しかし、ここから「SNSが最も費用対効果の高い採用手法」と結論づけることはできません。

回答数も異なり、採用する職種、企業の認知度、候補者との接点、採用までに必要な期間、社内で必要になる運用工数も揃っていないためです。

このデータは、

採用手法によって費用構造が大きく異なる

ことを理解する材料として使い、自社のチャネル選定は別途判断する必要があります。

応募単価が安くても、採用コストが低いとは限らない

採用では「応募単価」と「採用単価」を分けて考える必要があります。

応募単価は、一般に次のように計算します。

応募単価 = 対象となる費用 ÷ 応募数

一方、採用単価は、

採用単価 = 採用コスト ÷ 採用人数

です。

マーケティングでも「1件のコンバージョンを獲得するのにいくらかかったか」という単価を見ることがあります。この考え方は採用でも、チャネル別の費用を比較する際に利用できます。

ただし、採用では応募を最終成果として固定しないことが重要です。

応募が100件集まっても、採用要件を満たす応募がほとんどなければ、その後の書類確認や候補者対応の工数が増えます。

そのため、実務では次のように段階を分けて確認します。

費用 → 応募 → 適格応募 → 面接 → 内定 → 承諾 → 採用

応募獲得までを評価したいなら応募単価。

採用まで含めて評価したいなら採用単価。

さらに応募の質を確認したい場合は、

適格応募1件あたりのコスト = 対象費用 ÷ 適格応募数

のように、自社の判断用指標を置く方法もあります。

これは業界共通の公式ではなく、応募数だけでチャネルを評価しないための実務上の見方です。

選考工程の数字については、採用の歩留まりとは?計算方法・平均の見方と改善ポイントもあわせて確認してください。

採用コストが高いときは、削減より先に原因を分ける

採用コストが想定より高くなったときに、最初から「求人媒体費を削る」「人材紹介を止める」と決めると、原因と施策がずれる可能性があります。

まずは、何によって採用単価が上がっているのかを分けます。

1.何の費用が増えたのか

最初に採用コストの内訳を確認します。

求人媒体費が増えたのか、人材紹介の利用が増えたのか、スカウトサービスを追加したのか。それとも採用期間が長期化し、採用担当者や面接官の工数が増えたのか。

総額だけではなく、前年や計画時点から増えた費用を特定します。

2.採用人数が計画を下回っていないか

費用が前年と同じでも、採用人数が減れば1人あたりの採用単価は上がります。

その場合、問題は「費用を使いすぎたこと」とは限りません。

そもそも採用計画に対して応募が足りなかったのか、選考途中で候補者が減ったのかを確認する必要があります。

採用人数・期限・予算を整理する考え方は、採用計画とは?立て方・採用人数の決め方・計画書の項目を解説で詳しく解説しています。

3.チャネル別に「応募の先」まで見る

求人媒体Aの応募単価が安く、人材紹介Bの1人あたり費用が高かったとしても、それだけではどちらを残すべきか判断できません。

たとえば確認したいのは、

確認項目見ること
費用いくら使ったか
応募何件の応募・接点を作れたか
適格応募採用要件に合う候補者がどれだけいたか
面接実際に選考へ進んだか
内定採用可能な候補者まで進んだか
承諾・入社最終的に採用につながったか
運用工数自社でどれだけ時間を使ったか

です。

応募数が少なくても採用につながっているチャネルと、応募数は多いものの採用対象者がほとんどいないチャネルでは、評価が変わります。

4.歩留まり悪化を「集客コストの問題」にしない

応募は十分にあるのに採用人数が少ない場合、求人媒体を追加しても解決しないことがあります。

書類通過率が低いなら、採用要件と集まっている候補者のズレ。

面接辞退が多いなら、選考速度や候補者への情報提供。

内定承諾が進まないなら、条件や仕事内容、候補者の意思決定上の懸念。

というように、確認する場所が変わります。

採用コストは結果として高くなっていても、原因が下流工程にあるケースでは、上流の広告費だけを削っても改善しません。

5.内部コストが膨らんでいないか確認する

中小企業では、専任採用担当者ではなく、経営者・総務・現場責任者などが採用を兼任していることがあります。

その場合、

候補者の確認 → 日程調整 → 面接 → 社内調整 → 合否連絡

に多くの時間がかかっていても、会計上の採用費として見えないことがあります。

外部費用の削減だけでなく、不要な選考工程、重複作業、候補者対応の進め方なども確認対象です。

採用コストを見直すときの判断基準

採用コストの見直しでは、「高いチャネルを止め、安いチャネルへ移す」と単純化しないことが重要です。

サイヨミでは、チャネルや施策を次のように整理すると判断しやすいと考えています。

判断確認する状態
続ける費用はかかっているが、採用したい人材の採用につながっている
改善する候補者との接点はあるが、適格応募率や選考歩留まりに改善余地がある
優先度を下げる費用・工数に対して、対象候補者との接点や採用実績が弱い
一旦止める一定期間運用しても採用対象者との接点がほとんどなく、改善仮説も立てにくい
新しく検討する現在のチャネルだけでは採用ターゲットとの接点が不足している

ここでも、費用だけでは判断しません。

採用したい人材、採用期限、採用人数、自社で使える工数によって、同じチャネルでも評価は変わります。

特に採用人数が少ない中小企業では、1人の採用・不採用によって採用単価が大きく動くことがあります。短期間の数字だけでチャネルを入れ替えず、実績数とその背景をあわせて確認しましょう。

自社の外部費用・社内工数・採用人数を整理したい場合は、採用コストシミュレーターで計算できます。

まとめ|採用コストは「いくら使ったか」だけで判断しない

採用コストは、採用活動に使った費用の総額です。

そして、その総額を採用人数で割ることで、1人あたりの採用単価を確認できます。

ただし、採用コストの平均値は調査ごとに、

対象企業・調査時期・採用区分・費用の範囲・採用人数

が異なります。

平均より高いかどうかだけで、自社の採用が非効率とは判断できません。

自社で見るときは、

費用 → 応募 → 適格応募 → 選考 → 採用

までをチャネルごとに確認します。

採用コストが高ければ、すぐに費用を削るのではなく、「何に費用がかかったのか」「なぜ採用人数につながらなかったのか」を分ける。

そのうえで、続ける施策、改善する施策、優先度を下げる施策を判断していくことが、採用コストを改善に使うための基本です。

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