採用計画とは?立て方・採用人数の決め方・計画書の項目を解説

採用計画は、求人媒体や人材紹介会社を決めるところから始めるものではありません。まず「なぜ人が必要なのか」「何人必要なのか」を整理し、採用要件・期限・予算・チャネル・KPIへ落とし込むことが重要です。
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採用が必要になったとき、最初に求人媒体を探したり、人材紹介会社へ相談したりしていないでしょうか。
もちろん採用チャネルの選定は必要です。ただ、その前に確認したいのが、「なぜ採用するのか」「何人必要なのか」「いつまでに必要なのか」です。
ここが曖昧なまま募集を始めると、応募が集まらないときに媒体を追加したり、採用要件を途中で変更したりと、場当たり的な対応になりやすくなります。
採用計画とは、事業や組織に必要な人員を整理したうえで、採用人数・採用要件・時期・予算・チャネル・選考・KPIなどを具体化するための計画です。
この記事では、求人を出す前に何を決めればよいのかを、採用計画の立て方に沿って整理します。
採用計画とは
採用計画とは、必要な人材を、必要な時期までに採用するために、採用活動の前提と進め方を具体化した計画です。
単に「営業職を3人採用する」「10月までに採用する」と人数と期限だけを決めるものではありません。
実際に採用を進めるには、次のようなことを順番に整理する必要があります。
事業上の目的
→ 必要人数
→ 採用要件
→ 採用期限
→ 予算
→ 採用チャネル・選考
→ KPI
重要なのは、「どう採るか」より先に「なぜ人が必要なのか」「何人必要なのか」を確認することです。
求人媒体、人材紹介、スカウトなどは、採用を実行するための手段です。必要な人材や人数が曖昧なままでは、自社に合った手段も判断しにくくなります。
採用計画で決める主な項目
企業によって計画の形式は異なりますが、実務では次のような項目を整理しておくと採用活動を進めやすくなります。
- 採用する目的
- 募集する職種・役割
- 採用予定人数
- 採用要件
- 入社してほしい時期
- 採用スケジュール
- 採用予算
- 採用チャネル
- 選考フロー
- KPI
- 担当者・役割分担
すべてを細かく決めてからでなければ採用できないわけではありません。
ただし、最低でも「なぜ・誰を・何人・いつまでに・どのくらいの予算で・どう採るか」は整理しておきたいところです。
採用計画がないと何が起きるか
採用計画がない状態では、採用活動の判断基準が曖昧になります。
たとえば応募が少ないときに、
- 求人媒体を追加する
- 人材紹介会社を増やす
- 採用条件を変更する
と、すぐに手段から考えてしまうことがあります。
しかし、本当の問題が採用人数、採用要件、求人の訴求、チャネル選定のどこにあるのかは、それだけでは分かりません。
現場から「人が足りないので3人採ってほしい」と依頼された場合も、本当に3人の外部採用が必要なのかは確認が必要です。
配置転換や育成、業務改善、外注などで補える可能性もあります。
採用計画は施策を増やすためではなく、何を採用によって解決するのかを整理するための土台でもあります。
採用計画・人員計画・採用戦略の違い
採用計画を考える際には、「人員計画」「要員計画」「採用戦略」といった似た言葉も登場します。
これらに統一された唯一の使い分けがあるわけではありません。この記事では、実務上分かりやすいよう次のように整理します。
人員計画は「組織に何人必要か」を考える
人員計画・要員計画では、事業計画や業務量をもとに、
- どの部署に
- どのような役割の人が
- 何人必要なのか
を考えます。
そのうえで、現在の人員、退職見込み、異動、育成、配置転換などを確認し、不足する人員を整理します。
採用計画は「不足する人材をどう採るか」を具体化する
必要な人員のすべてを外部採用で補う必要はありません。
既存社員の配置転換や育成、業務改善などを検討した結果、外部から採用する必要がある人数が見えてきます。
そこから、
- 誰を採るか
- 何人採るか
- いつ採るか
- いくら使うか
- どこで募集するか
- どう選考するか
まで具体化していきます。
採用戦略は「どのように採用を進めるか」の方針
採用戦略では、採用市場や競合、自社の特徴などを踏まえ、
- どのような人材を狙うか
- 何を魅力として伝えるか
- どのチャネルを使うか
- どのような候補者接点を作るか
といった方向性を考えます。
この記事では、
人員計画で必要人員を考える
→ 採用戦略で採り方の方向性を考える
→ 採用計画で具体的な実行内容へ落とす
と整理すると理解しやすいでしょう。
採用計画の立て方【7ステップ】
ここからは、実際に採用計画を立てる順番を見ていきます。
ポイントは、求人媒体や人材紹介会社を決めるところから始めないことです。

1.事業計画と採用目的を確認する
最初に確認したいのは、「なぜ人を採用する必要があるのか」です。
採用理由には、たとえば次のようなものがあります。
- 退職者の欠員を補う
- 受注増加に対応する
- 新規事業を始める
- 新しい専門スキルが必要になった
- 将来の事業拡大に備える
「人手が足りないから採用する」だけでは、必要な人材像や人数までは分かりません。
受注増加が理由なら、
「どの業務が、どの程度増えるのか」
「既存メンバーではどこまで対応できるのか」
「その仕事を任せるには、どのような経験が必要なのか」
まで確認します。
採用担当者だけでは判断できない内容も多いため、経営者や現場責任者とのすり合わせが必要です。
2.必要人数と採用人数を決める
次に、何人採用する必要があるのかを考えます。
ここで注意したいのは、現場から希望された人数をそのまま採用人数にしないことです。
たとえば、
- 現在の業務量
- 今後増える業務
- 退職予定者
- 異動予定
- 既存社員の育成
- 配置転換
- 業務改善や外注
などを確認します。
考え方を簡略化すると、
必要総人員 − 現在人員 − 社内で補える人数 = 外部採用が必要な人数
です。
これは採用人数を機械的に算出する公式ではなく、必要人数を整理するための考え方です。
現場から積み上げた人数だけでなく、事業計画や人件費との整合も確認します。
たとえば、必要人数を考える一つの目安として、
目標売上高 ÷ 1人当たり売上高 = 必要人数の目安
と見る方法もあります。
ただし、職種ごとの生産性や外注、設備投資などによっても必要人数は変わります。
一つの数字だけで決めず、現場から見た必要人数と、経営・事業面から見た人数の両方を確認することが重要です。
3.採用要件を決める
人数が決まったら、そのポジションで必要な人材を具体化します。
たとえば、
- 任せる仕事内容
- 必須の経験
- 必須スキル
- 歓迎する経験・スキル
- 入社後に期待する状態
などです。
「コミュニケーション能力が高い人」「主体性のある人」といった抽象的な人物像だけでは、求人票にも選考にも落とし込みにくくなります。
まずは、入社後にどのような仕事を任せ、何ができればよいのかから考えると整理しやすくなります。
採用要件の具体的な作り方は、採用要件とは?で詳しく解説しています。
4.採用期限からスケジュールを逆算する
次に、「いつ募集を始めるか」ではなく、いつ入社してほしいのかからスケジュールを逆算します。
たとえば、
入社
← 内定
← 最終面接
← 一次面接
← 書類選考
← 応募
← 募集開始
と考えます。
欠員補充の場合、「来月人が必要だから来月募集する」では遅いことがあります。
求人を公開して応募が入り、選考を行い、候補者が現職を退職して入社するまでには時間がかかるためです。
新卒採用の場合は、企業側の選考開始時期だけでなく、学生が企業を知り、情報収集を始める時期も含めて考える必要があります。
5.採用予算を決める
採用計画では、必要な予算も整理します。
採用費というと求人媒体の掲載費や人材紹介の成功報酬を想像しやすいですが、それだけではありません。
たとえば、
- 求人広告
- 人材紹介
- ダイレクトリクルーティング
- 採用サイトや求人制作
- 採用イベント
- 採用管理ツール
- 選考にかかる費用
などがあります。
また、直接的な支出とは別に、採用担当者や面接担当者がどの程度の時間を使うのかという社内工数も把握しておくと、施策ごとの負荷を比較しやすくなります。
「採用予算300万円」と総額だけを決めるのではなく、何に、どの程度使うのかまで分けて考えましょう。
6.採用チャネルと選考方法を決める
採用要件が固まったら、その人材と接点を持ちやすい採用チャネルを選びます。
たとえば、
- 求人媒体
- 人材紹介
- ダイレクトリクルーティング
- ハローワーク
- リファラル採用
- 自社採用サイト
などがあります。
ここで重要なのは、使いたい媒体から採用計画を作らないことです。
「以前使ったことがあるから」「営業を受けたから」ではなく、採用したい人材がどこにいるのかを基準に考えます。
採用チャネルの種類や選び方については、採用チャネルとは?で詳しく解説しています。
あわせて、書類選考、面接、適性検査などの選考方法と役割も決めます。
選考で何を評価するかは、採用基準とは?も参考にしてください。
7.KPIを設定し、見直せる状態にする
採用計画は、作って終わりではありません。
実行後に「計画通り進んでいるか」を確認するための指標も決めます。
たとえば、
求人表示
→ 求人閲覧
→ 応募
→ 書類通過
→ 面接
→ 内定
→ 入社
という流れで数字を確認します。
応募が少ない場合と、応募はあるものの書類通過者が少ない場合では、確認する場所が違います。
前者なら求人の表示・訴求・チャネル、後者なら採用要件や集まっている応募者とのズレなどを確認する必要があります。
採用KPIの設定方法や歩留まりの見方については、採用KPIとは?で詳しく解説しています。
採用人数はマクロとミクロの両方から妥当性を確認する
採用人数を決めた後は、その人数に根拠があるかをもう一度確認します。
「退職者が2人出たから2人採用する」
「現場から5人欲しいと言われたから5人募集する」
という決め方だけでは、今後の事業にとって適正な人数かは判断できません。
欠員数だけで決めない
たとえば10人の部署から2人が退職するとします。
単純に考えれば、2人採用して10人へ戻すことになります。
しかし、実際には、
- 今後業務が増えるのか減るのか
- 業務プロセスを改善できないか
- 他部署から異動できないか
- 既存社員を育成できないか
- 外注できる業務はないか
- システム導入で削減できる業務はないか
まで確認した方が、必要人数を判断しやすくなります。
反対に、現在の人数へ戻すだけでは足りず、事業拡大のために追加の増員が必要なケースもあります。
「今何人いるか」ではなく、「これから必要な仕事に何人必要か」から考えることが重要です。
現場と経営の数字が食い違ったら前提を確認する
採用人数は、二つの方向から確認すると整理しやすくなります。
一つは、現場の業務量や役割から人数を積み上げるミクロの視点。
もう一つは、売上計画や人件費など会社全体から人数の妥当性を見るマクロの視点です。
たとえば現場では「5人必要」となっていても、事業計画や人件費を踏まえると一度に5人を増員するのは難しいかもしれません。
逆に、経営計画では5人の増員を前提としているのに、現場から2人しか要望が出ていないなら、将来の業務計画が十分に共有されていない可能性もあります。
数字が食い違ったときにどちらかをそのまま採用するのではなく、なぜ差が出ているのかを確認することが重要です。
採用計画書に入れる項目
採用計画は、計画書やスプレッドシートなどにまとめておくと、経営・現場・採用担当者の認識を合わせやすくなります。
採用計画書には、次のような項目を入れておくとよいでしょう。
| 項目 | 記載する内容の例 |
|---|---|
| 採用目的 | 欠員補充、新規事業、事業拡大など |
| 募集職種 | 営業、エンジニア、経理など |
| 採用予定人数 | 2名、3名など |
| 採用要件 | 必須経験・スキル、歓迎条件 |
| 入社希望時期 | 2026年12月までなど |
| 採用スケジュール | 募集開始、面接、内定、入社 |
| 採用予算 | 求人広告、人材紹介、スカウトなど |
| 採用チャネル | 求人媒体、人材紹介、スカウトなど |
| 選考フロー | 書類→一次面接→最終面接など |
| KPI | 応募数、書類通過数、内定数など |
| 担当者 | 人事、現場責任者、経営者など |
| 進捗・見直し | 現状、課題、次回の修正内容 |
形式を複雑にする必要はありません。
まずは、目的・人数・採用要件・期限・予算・採用方法が一つの資料で確認できる状態を目指しましょう。
新卒採用と中途採用で計画するときの違い
採用計画の基本的な考え方は共通していますが、新卒と中途ではスケジュールや採用要件の考え方に違いがあります。
新卒採用
新卒採用は、4月入社など入社時期をある程度まとめて設定する企業が多く、年間スケジュールで考えやすい採用です。
一方、学生が就職活動を始める時期は早期化・長期化しています。
パーソル総合研究所の「新卒就活の変化に関する定量調査」では、2025年の調査対象者では大学2年生冬までに約2割が就職活動を開始しているとされています。
そのため、新卒採用では選考開始日だけを見るのではなく、
認知・情報提供
→ 接点形成
→ 応募
→ 選考
→ 内定
→ 入社
までを長めの時間軸で考える必要があります。
中途採用
中途採用では、
- 退職者の補充
- 新しいポジションの新設
- 事業拡大による増員
など、必要になったタイミングで採用活動を始めるケースが多くなります。
そのため、「いつまでに必要なのか」から逆算することが特に重要です。
また、ポジションごとに求める経験やスキルが異なるため、全社共通の年間計画だけではなく、募集ポジション単位で採用要件・期限・チャネルを整理すると進めやすくなります。
採用計画を立てるときによくある失敗
採用計画は、項目を埋めることよりも前提を確認することが重要です。
いきなり求人媒体を決める
「採用しよう」となった直後に、求人媒体や人材紹介会社から検討を始めるケースがあります。
しかし、チャネルは手段です。
先に、
誰を
何人
いつまでに
採用するのかを整理しなければ、適切なチャネルも判断できません。
まず採用目的と必要人員を確認し、その後に手段を選びます。
採用人数を現場の希望だけで決める
現場の意見は重要ですが、「あと3人欲しい」という要望だけで採用人数を確定するのは避けたいところです。
今後の事業計画や業務量、人件費、異動、育成なども含めて確認します。
現場と経営の両方から見ることで、「本当に外部採用が必要な人数」が見えやすくなります。
採用要件を高くしすぎる
採用計画上は5人必要なのに、
- 業界経験5年以上
- マネジメント経験あり
- 特定サービスの経験必須
- 複数の専門スキル必須
など条件を増やしすぎると、対象となる人材が極端に少なくなることがあります。
採用人数と採用要件は別々に考えるものではありません。
その条件の人を、その人数、期限内に採用できる現実性があるのかまで確認する必要があります。
計画を一度作って終わりにする
採用計画を作った段階では、実際にどの程度応募が来るのかは分かりません。
求人を公開した後に、
- 求人が見られていない
- 見られているが応募されない
- 応募はあるが採用要件に合わない
- 面接途中で辞退される
といった状況が分かってきます。
そのとき、すぐ媒体を追加するのではなく、どこで候補者が減っているのかを確認してから計画を修正することが重要です。
採用計画を立てた後は数字を見ながら修正する
採用計画は、一度決めた内容を最後まで守るためのものではありません。
実際の採用活動を見ながら、
計画
→ 実行
→ 数字を確認
→ 修正
を繰り返します。
たとえば、「採用予定3人に対して応募が10人しかない」という結果だけを見ても、原因は分かりません。
求人そのものが十分に表示されていないのかもしれませんし、求人は読まれていても応募につながっていない可能性もあります。
一方、応募が多くても、採用要件を満たす人がほとんどいなければ、ターゲットやチャネルを見直す必要があります。
重要なのは、「採用できない」という結果だけを見るのではなく、採用プロセスのどこに計画との差が出ているかを見ることです。
その差が分かれば、
- 続ける施策
- 改善する施策
- 優先度を下げる施策
- 新しく検討する施策
を分けて判断しやすくなります。
まとめ|求人を出す前に「なぜ・誰を・何人・いつまでに」を決める
採用計画は、求人媒体や採用スケジュールを並べただけのものではありません。
まず、
事業上なぜ人が必要なのか
を確認し、
必要人数
→ 採用要件
→ 採用期限
→ 予算
→ 採用チャネル・選考
→ KPI
へ具体化していきます。
特に採用人数は、「欠員が出たから」「現場に言われたから」だけで決めず、業務量や事業計画、人件費、社内配置など複数の視点から確認することが重要です。
採用活動を始めてから成果が出ない場合も、すぐに媒体や施策を増やすのではなく、まず計画と実績のどこに差があるかを確認します。
「どう採るか」を考える前に、「なぜ・誰を・何人・いつまでに採るのか」を整理する。
これが、採用計画を立てる最初のポイントです。
よくある質問
採用計画はいつ作ればよいですか?
年度の事業計画や人員計画に合わせて作成する方法がありますが、年度初めだけに限定する必要はありません。
退職による欠員、新規事業、受注増加、新しい職種の追加など、必要人員が変わったタイミングでも見直します。
採用計画は固定された年間予定表ではなく、事業や人員の変化に応じて更新するものとして考えるとよいでしょう。
採用計画は誰が作るものですか?
採用担当者だけで完結させない方がよいでしょう。
必要人数や人件費は経営側、具体的な仕事内容や必要スキルは現場側が詳しいためです。
採用担当者が情報を整理しながら、経営・現場・採用担当の認識を合わせて作ることが重要です。
一般的な採用計画と、助成金の「中途採用計画」は同じですか?
同じものではありません。
一般的な採用計画は、企業が採用活動を進めるために作る計画です。
一方、厚生労働省の「早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)」では、制度上の手続きとして「中途採用計画」の届出があります。
助成金を利用する場合は、一般的な採用計画とは分けて考え、対象要件や提出時期、最新の様式を厚生労働省の案内で確認してください。


