採用改善

採用KPIとは?見るべき指標・設定方法と改善につなげる見方

公開:2026/8/28 更新:2026/8/28 著者:水野徹哉
採用目標からKPIを設定し、応募・選考・内定の歩留まりを確認してボトルネックを特定し、改善につなげる流れを示した図解

採用KPIとは何かを、KGIとの違い、応募・書類・面接・内定承諾などの指標例、歩留まりからの逆算方法、ボトルネックを特定して改善につなげる見方まで解説します。

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採用KPIは、応募数や面接数を細かく記録すること自体が目的ではありません。

採用目標に対して、採用活動のどこに問題があるのかを確認し、次に何を改善するかを判断するための指標です。

たとえば「応募が少ない」という結果だけを見ても、求人が十分に見られていないのか、見られているのに応募されていないのか、採用したい人に届いていないのかで改善策は異なります。

そのため、採用KPIは次の流れで考えます。

採用目標 → KGI → KPI → 各段階の人数・歩留まり → ボトルネックの特定 → 改善

この記事では、採用KPIの基本から、具体的に見る指標、設定方法、数字を実際の採用改善につなげる方法まで解説します。

採用KPIとは?KGIとの違い

KPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)は、最終的な目標を達成するまでの途中経過を確認するための指標です。

採用活動では、応募数、書類通過率、面接通過率、内定承諾率などが例として挙げられます。

一方、KGI(Key Goal Indicator/重要目標達成指標)は、最終的に達成したい結果を確認する指標です。

採用では「必要な人材を○名採用する」などがKGIの例になります。

KPIは採用プロセスを改善するために使う

たとえば、営業職を2名採用したいとします。

採用結果だけを見れば、

  • 2名採用できた
  • 1名しか採用できなかった

という結果は分かります。

しかし、「1名しか採用できなかった」という結果だけでは、何が原因だったのかまでは分かりません。

そこで、

  • 応募数
  • 書類通過数・通過率
  • 面接数・通過率
  • 内定数
  • 内定承諾数・承諾率

などを確認します。

各段階の数字を見ることで、「応募段階で不足していたのか」「選考途中で候補者が減っていたのか」「内定後に辞退されていたのか」を切り分けやすくなります。

KPIは採用担当者の成績表ではなく、採用活動の状態を観察し、改善するための指標として使うものです。

KGIは最終的に達成したい結果

KGIとKPIを採用活動に当てはめると、次のように整理できます。

項目KGIKPI
役割最終的に達成したい結果を見る結果に至る途中の状態を見る
採用での例必要人数の採用など応募数、通過率、内定承諾率など
主な用途ゴールの達成確認ボトルネックの発見・改善

人事院の「令和4年度人事院政策評価実施結果」でも、政策として実現したい成果をKGI、その実現に向けた具体的な取組の状況をKPIとして分けて評価する例が示されています。

採用でも同じように、最終結果と、そこへ至るプロセスを分けて見ると考えると理解しやすくなります。

採用活動で確認したい主なKPI

採用KPIは、人数だけでなく「率」とセットで見ることが重要です。

たとえば面接を10人実施した場合でも、「100人応募して10人が面接に進んだ場合」と「20人応募して10人が面接に進んだ場合」では状況が異なります。

主な指標例を整理すると、次のようになります。

採用段階指標例計算例主に確認できること
応募応募数件数必要な応募を確保できているか
応募要件に合う応募率要件に合う応募数 ÷ 応募数採用ターゲットとのズレ
書類選考書類通過率書類通過数 ÷ 書類選考対象数応募者と採用要件のズレ
面接面接設定率面接設定数 ÷ 面接案内対象数次の選考へ移行できているか
面接面接通過率面接通過数 ÷ 面接実施数候補者と採用基準の適合状況
内定最終面接からの内定率内定数 ÷ 最終面接実施数最終選考での移行状況
内定内定承諾率内定承諾数 ÷ 内定数内定後の離脱状況
入社入社数人数採用目標を達成できているか
チャネルチャネル別採用数流入元別に集計どこから採用できているか
コストチャネル別採用単価チャネル費用 ÷ そのチャネル経由の採用数チャネルごとの費用対効果

実際の選考フローは企業によって異なります。

「応募数」をどこから数えるのか、「面接設定率」の分母を何にするのかなど、自社で計算方法を統一しておくことも重要です。

応募数だけでなく「採りたい人が応募しているか」を見る

応募数は重要なKPIですが、多ければ多いほど採用がうまくいっているとは限りません。

たとえば応募が100件あっても、採用要件に合う人がほとんどいなければ、書類選考の工数だけが増える可能性があります。

そこで、応募数と合わせて、

  • 必須要件を満たしている応募数
  • 書類選考を通過した応募数

など、自社にとって意味のある応募がどの程度あるかを確認する方法があります。

この記事では、このような「有効応募」を公的な統一指標としてではなく、企業ごとに定義して使う実務上の指標例として扱います。

重要なのは名称ではありません。

応募数だけでなく、自社が採用したい人から応募されているかを見ることです。

そのためには、そもそも「どのような人を採用したいのか」という採用要件が整理されている必要があります。

人数と歩留まり率をセットで見る

採用では、応募した人全員が入社まで進むわけではありません。

たとえば、

応募
→ 書類選考
→ 面接
→ 内定
→ 内定承諾
→ 入社

という流れの中で、不合格だけでなく候補者側の辞退も発生します。

各段階から次の段階へ進んだ割合を確認すると、どこで候補者が減っているかを把握しやすくなります。

たとえば、

  • 応募50人
  • 書類通過20人

なら、書類通過率は40%です。

翌月、

  • 応募100人
  • 書類通過20人

になった場合、書類通過人数は変わっていませんが、通過率は20%まで下がっています。

この場合、応募数を増やすことには成功していても、採用要件に合わない応募が増えている可能性があります。

このように、人数だけでは見えない変化を確認するために、歩留まり率も合わせて見ます。

工程間の率の計算と、低い段階から原因を確認する方法は、採用歩留まりの見方で整理しています。

チャネル別に数字を分けて確認する

求人媒体、人材紹介、ダイレクトスカウトなど複数の採用チャネルを利用している場合、すべての応募を一括で管理すると、どこから採用につながっているのか分かりにくくなります。

以下は、考え方を説明するための架空例です。

チャネル応募書類通過採用
求人媒体A3030
人材紹介852
スカウト531

応募数だけを見ると、求人媒体Aが最も成果を出しているように見えます。

しかし、実際の採用まで見ると判断は変わります。

費用も確認できるのであれば、

  • 応募数
  • 採用要件に合う応募数
  • 面接数
  • 採用数
  • 採用単価

などをチャネル別に確認します。

応募を集めたチャネルと、実際に採用につながったチャネルは同じとは限りません。

採用KPIは採用目標から逆算して設定する

採用KPIは、「他社が見ているから」という理由だけで決めるのではなく、自社の採用目標から逆算して設定します。

最終的な採用人数から、内定、面接、書類選考、応募へと必要人数をさかのぼることで、「現時点でどこが不足しているのか」を判断しやすくなります。

1. まず採用目標・KGIを決める

最初に「何を達成したいのか」を決めます。

たとえば、

12月末までに営業職を2名採用する

という目標です。

ここが曖昧なまま、

  • 応募100件
  • 面接20件

などとKPIだけ設定しても、その数字が十分なのか判断できません。

まずゴールを明確にし、その達成に必要な数字を考えます。

2. 採用プロセスを分解する

次に、自社の採用プロセスを分解します。

たとえば、

応募
↓
書類選考
↓
一次面接
↓
最終面接
↓
内定
↓
内定承諾
↓
入社

という流れです。

企業によっては、カジュアル面談や適性検査などが入る場合もあります。

一般的な採用フローをそのまま使うのではなく、自社で候補者が実際に通るプロセスに合わせて分解することが重要です。

最終目標から必要なプロセスを分解し、各指標をつなげて整理したものは、KPIツリーとして表現されることもあります。

各工程を構造として整理する方法は、採用ファネルの見方で詳しく確認できます。

3. 自社の歩留まりから必要人数を逆算する

採用目標と採用プロセスが決まったら、下流から上流へ必要人数を逆算します。

以下は計算方法を説明するための仮定です。

  • 採用目標:2人
  • 内定承諾率:50%
  • 最終面接からの内定率:50%
  • 一次面接から最終面接への通過率:50%

この場合、

2人入社
↓
内定承諾率50%なら、内定4人
↓
内定率50%なら、最終面接8人
↓
通過率50%なら、一次面接16人

というように逆算できます。

実際には、さらに上流に書類選考や応募があるため、自社の実績をもとに必要人数を計算していきます。

ここで重要なのは「50%」という数字ではありません。

最終的に必要な採用人数から、上流の必要数を逆算することです。

4. 他社平均より自社の実績を起点にする

採用KPIを考えるとき、「書類通過率は何%が普通なのか」「内定承諾率は何%なら良いのか」と気になるかもしれません。

市場調査などの平均値は参考にはなりますが、その数字をそのまま自社の目標値にする必要はありません。

歩留まりは、

  • 採用職種
  • 採用要件
  • 地域
  • 給与
  • 会社の知名度
  • 使用するチャネル
  • 選考方法

などによって変わります。

自社に過去の採用データがある場合は、まず実績を起点にします。

たとえば昨年の書類通過率が20%だった場合、「一般的な平均と比べて低いか」だけではなく、

  • 今年は何%になっているか
  • どのチャネルで低いのか
  • 採用要件や求人内容を変更した影響はないか

と比較する方が、具体的な改善につながります。

過去データがない場合は、最初から精密な目標値を作ろうとせず、一定期間の実績を蓄積しながら見直していく方法もあります。

KPIから採用のボトルネックを見つける

採用KPIを管理する目的は、数字を報告することではなく、採用活動のどこに問題があるかを見つけることです。

数値から見つけた問題を、求人・チャネル・選考や担当体制と結び付けて考える際は、サイヨミの「KPI・運用体制を見る」観点も参考にしてください。

応募から入社までの採用ファネルと、各段階のKPIからボトルネックを確認する流れ

重要なのは、

数値が悪い → すぐ施策を増やす

ではありません。

数値が悪い → 原因候補を確認する → 必要な場所だけ改善する

という順番です。

主な状態と確認先を整理すると、次のようになります。

起きていることまず確認したいこと改善候補
応募自体が少ない求人が見られているか、採用したい人がいる場所に出しているかチャネル・露出・求人訴求
応募は来るが要件に合わない採用ターゲットと求人内容が一致しているか採用要件・求人訴求
書類通過率が低い求人で集めている人と採用基準が一致しているか採用要件・求人内容
面接への移行が少ない連絡や日程調整、選考負荷に問題がないか選考プロセス
面接通過率が低い求める人物像や採用基準が適切か採用基準・ターゲット
内定承諾率が低い条件・仕事内容・会社情報を十分に伝えられているか情報提供・求人訴求・選考体験
採用単価が高いどのチャネルに費用がかかり、どこから採用できているかチャネル配分

この表は「この数字が悪ければ、必ずこの原因」と断定するものではありません。

KPIから原因候補を絞り込み、実際の求人、選考、候補者対応などを確認するために使います。

応募数が少ない場合

応募数が不足していると、すぐに「求人票を書き直そう」「別の求人媒体を追加しよう」と考えがちです。

しかし、その前に確認したいことがあります。

たとえば、求人の表示自体が少ないのであれば、仕事内容を書き直しても、そもそも候補者に見られていないため効果は限定的です。

一方で、求人は見られているのに応募されていないのであれば、仕事内容、条件、訴求などを重点的に確認します。

「応募が来ない」という課題の切り分け方については、求人を出しても応募が来ない原因は?求人票を直す前に確認したいポイントでも詳しく解説しています。

応募数という1つの数字だけを見るのではなく、その前後で候補者がどのように動いているかを分けて見ることが重要です。

応募はあるが書類通過率が低い場合

応募数は十分なのに書類通過率が低い場合、「もっと応募を増やす」ことが最優先とは限りません。

まず、

  • どのような人を採用したいのか
  • 求人では誰に向けて書いているのか
  • 企業が求める経験と応募者が一致しているか
  • 求人で示した条件と実際の選考基準が一致しているか

を確認します。

採用要件と求人訴求がずれていれば、応募を増やすほど選考工数が増える可能性があります。

この場合は、母集団の「量」を増やす前に、採用したい人に求人が届いているかを確認する方が先です。

面接通過率が低い場合

書類選考では通過するのに、面接で候補者が大きく減っている場合は、単純に「応募者の質が低い」と判断しない方がよいでしょう。

たとえば、

  • 書類選考と面接で見ている基準が違う
  • 採用基準が面接官ごとに異なる
  • 求人で伝えている人物像と実際の採用基準がずれている

といった可能性もあります。

面接通過率そのものを上げることが目的ではありません。

なぜその段階で候補者が減っているのかを確認することが重要です。

内定承諾率が低い場合

応募から内定までは十分進んでいるのに、内定承諾率が低い場合は、母集団形成より下流に課題がある可能性があります。

たとえば、

  • 仕事内容を十分に理解してもらえているか
  • 条件について認識のズレがないか
  • 選考中に候補者が知りたい情報を提供できているか
  • 求人で伝えた内容と、選考中の説明が一致しているか

などを確認します。

求人広告を増やして応募数を増やしても、内定後に同じ割合で辞退されるのであれば、ボトルネック自体は解消されません。

どこで候補者が減っているかによって、改善すべき施策は変わります。

採用KPIを運用するときの注意点

採用KPIは、設定しただけで採用を改善してくれるものではありません。

特に注意したいのは、KPIの達成そのものを目的にしないことです。

KPIの達成自体を目的にしない

たとえば「応募100件」というKPIを設定したとします。

100件を達成するために採用対象を必要以上に広げれば、応募数だけは増やせるかもしれません。

しかし、その後の書類通過率が大きく下がれば、採用目標には近づいていません。

同様に、面接通過率を上げるためだけに採用基準を緩めることも、本来の採用目標から外れる可能性があります。

KPIは、KGIを達成するために途中の状態を確認する数字です。

個別のKPIだけを達成することが目的にならないよう注意します。

KPIを増やしすぎない

ATSなどを利用すれば、多くの採用データを取得できる場合があります。

しかし、取得できる数字をすべてKPIとして管理する必要はありません。

特に採用を兼任している企業では、細かな数字の入力・集計に時間を使いすぎると、候補者対応や改善活動に使える時間が減ります。

KPIを追加するか迷ったときは、

この数字が悪かった場合、何か行動を変えるか?

と考えてみてください。

改善判断にほとんど使わない数字なら、少なくとも最初から優先的に追う必要はありません。

毎月の人数・率を記録して振り返る資料として、KPI月次シートを使えます。

数値だけで採用品質を判断しない

歩留まり、採用単価、応募数などは、採用プロセスを確認するには有効です。

一方で、

その候補者を自社が採用すべきか

という判断を、歩留まり率だけで決めることはできません。

たとえば面接通過率が低いからといって、必ずしも採用基準を緩める必要があるわけではありません。

応募者層が採用要件とずれている可能性もあります。

採用プロセスの「量・効率」を見るKPIと、候補者を見極めるための採用要件・採用基準は分けて考え、必要に応じて両方を確認します。

中小企業はまず3つの観点から採用KPIを確認する

採用専任者がいない企業では、最初から複雑なKPI管理表を作る必要はありません。

まずは、

  1. 各段階の人数と歩留まり
  2. 採用要件に合う応募が来ているか
  3. チャネル別に採用につながっているか

の3つから確認すると、採用活動の状況を把握しやすくなります。

これは法律や公的機関が定めた「3つの必須KPI」ではなく、限られたリソースで採用活動を確認するための実務上の整理です。

1. 各段階の人数と歩留まり

まず、

応募
→ 書類選考
→ 面接
→ 内定
→ 入社

の人数を並べます。

次に、それぞれの移行率を確認します。

これだけでも、

  • 応募が足りない
  • 書類選考で大きく減っている
  • 面接で減っている
  • 内定後に減っている

といった採用上の詰まりを確認できます。

2. 採用要件に合う応募が来ているか

応募数だけではなく、採用したい人から応募されているかを確認します。

そのためには、先に採用要件を整理しておく必要があります。

たとえば、「法人営業3年以上」を本当に必須条件としているのであれば、応募者のうち何人がその条件を満たしているのかを見ることで、求人のターゲットがずれていないかを確認できます。

逆に、要件に合う応募がほとんどない場合は、選考基準を変更する前に、求人内容や使用チャネルを見直すべき可能性があります。

3. チャネル別に採用につながっているか

最後に、求人媒体、人材紹介、スカウトなど、流入元を分けます。

まずは、

  • 応募数
  • 採用要件に合う応募数
  • 採用数

を比較します。

費用が分かれば、採用単価も確認します。

応募が多いチャネルが、必ずしも最も採用できているチャネルとは限りません。

まずこの3つを把握し、問題が見つかった部分だけ追加のKPIを確認していけば、管理項目を必要以上に増やさずに済みます。

まとめ|採用KPIは「どこを改善するか」を判断するために使う

採用KPIは、多くの数字を管理することが目的ではありません。

大切なのは、

  • 採用目標から必要なプロセスを逆算する
  • 各段階の人数と歩留まりを確認する
  • 応募数だけでなく、採用したい人が来ているかを見る
  • チャネル別に応募から採用までを見る
  • 数字が悪い場所から原因を切り分ける

ことです。

採用活動で成果が出ないと、新しい求人媒体を追加したり、求人票を書き直したりと、すぐに施策を増やしたくなるかもしれません。

しかし、応募前に問題があるのか、選考途中なのか、内定後なのかによって、必要な改善は異なります。

KPIは「何を増やすか」を決めるためだけの数字ではなく、「今どこを確認すべきか」を判断するための数字です。

まずは自社の採用プロセスを並べ、候補者がどこで減っているのかを確認するところから始めてみてください。

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