求人票の求める人物像の書き方|例文・NG表現と具体化のポイント

求人票の「求める人物像」をどう書けばよいかを解説。主体性・コミュニケーション能力・協調性などの抽象的な表現を、仕事内容や具体的な行動から候補者に伝わる言葉へ変える方法と例文、年齢・性別などの注意点を整理します。
目次を開く
求人票の「求める人物像」を書こうとすると、
- 主体性のある方
- コミュニケーション能力が高い方
- 協調性のある方
- 責任感のある方
といった表現になりがちです。
これらの言葉自体が間違っているわけではありません。ただ、「主体性」が何を意味するのかは、会社や仕事によって異なります。
自分で課題を見つけることなのか、周囲を巻き込んで改善することなのか、指示を待たずに判断することなのか。それが分からなければ、求職者も「自分が当てはまるのか」を判断しにくくなります。
求人票の求める人物像は、抽象的な性格や理想像を並べるのではなく、その仕事で必要になる場面と行動まで具体化し、求職者が自分の経験と照らして判断できる表現にすることが重要です。
この記事では、求人票の求める人物像の考え方から、具体的な書き方、悪い例・改善例、年齢や性別など記載時に注意したい表現まで解説します。
この記事でわかること
- 求める人物像と採用要件・応募資格の違い
- 抽象的な人物像を具体化する4つのステップ
- 「主体性」「コミュニケーション能力」などの改善例
- 年齢・性別など求人へ記載するときの注意点
求人票の「求める人物像」とは
「求める人物像」という言葉は、求人媒体や企業によって使われ方が異なります。
応募資格に近い意味で使われる場合もあれば、採用要件や採用ペルソナに近い意味で説明される場合もあります。
この記事では、求人票に記載する「求める人物像」を、
仕事で期待する行動や仕事の進め方、姿勢を、求職者にも分かる形で表したもの
として整理します。
たとえば、
法人営業経験3年以上
は、経験に関する条件です。
一方、
顧客の話を聞いて課題を整理し、社内の関係者へ分かりやすく共有しながら提案を進められる方
とすれば、その仕事でどのような行動を期待しているのかが分かります。
単に「どんな人が欲しいか」を企業側だけで考えるのではなく、求人を読んだ求職者が「自分の経験なら当てはまりそうだ」と判断できる状態を目指します。
採用要件・採用ペルソナ・応募資格との違い
この記事では、関連する言葉を次のように整理します。
| 項目 | この記事での整理 |
|---|---|
| 採用要件 | 仕事を任せるうえで必要な経験・能力・条件 |
| 求める人物像 | 仕事で期待する行動・仕事の進め方・姿勢を求職者向けに表現したもの |
| 採用ペルソナ | 候補者が何を考え、何を重視し、何を知りたいかを具体化するための人物像 |
| 応募資格 | 応募時点で必要となる条件 |
実際には求人媒体によって項目名や使い方が異なります。
名称そのものよりも、何を条件として求め、どのような行動や仕事の進め方を期待しているのかを分けて整理することが重要です。
「主体性」「コミュニケーション能力」だけでは伝わりにくい
求める人物像で起こりやすいのが、社内では意味が通じている言葉を、そのまま求人票へ書いてしまうことです。
たとえば、
コミュニケーション能力のある方
と書いたとします。
しかし、営業職で求めるコミュニケーション能力と、事務職やプロジェクトマネージャーに求めるコミュニケーション能力は同じとは限りません。
営業であれば、
- 顧客の要望を聞く
- 課題を整理する
- 分かりやすく提案する
ことかもしれません。
複数部署をまたぐ仕事であれば、
- 関係者へ必要な情報を共有する
- 意見の違いを整理する
- スケジュールを調整する
ことかもしれません。
同じ「コミュニケーション能力」でも、実際の仕事で必要な行動は異なります。
抽象語を別の抽象語へ言い換えない
「コミュニケーション能力」を「対人能力」に変えたり、「主体性」を「自走力」に変えたりしても、それだけでは具体化したことにはなりません。
重要なのは言葉を格好よくすることではなく、
その能力が、どの仕事の、どの場面で、どんな行動として必要なのか
まで確認することです。
求める人物像は、次の順番で考えると具体化しやすくなります。
社内で使っている抽象語
↓
その力が必要になる仕事の場面
↓
その場面で期待する具体的な行動
↓
求職者が自分の経験と照らせる求人票の表現
たとえば、
コミュニケーション能力が高い人
という社内の言葉があったとします。
実際の仕事を確認すると、
顧客から聞いた要望を整理し、制作担当へ正確に共有する
場面で必要だと分かりました。
求人票では、
顧客から聞いた要望を整理し、社内メンバーへ分かりやすく共有しながら仕事を進められる方
まで具体化できます。
この方が、求職者も過去の仕事を振り返りながら、自分に当てはまるかを判断しやすくなります。
求める人物像を求人票へ落とし込む4つのステップ
求める人物像を考えるとき、いきなり「どんな性格の人が欲しいか」から始める必要はありません。
仕事内容から順番に考えていきます。
STEP1|任せる仕事・役割を確認する
まず確認したいのは、そのポジションで何を任せるのかです。
同じ営業職でも、
- 新規顧客への提案が中心
- 既存顧客へのフォローが中心
- 顧客と社内制作チームの調整が多い
- チームマネジメントまで任せる
など、仕事内容は異なります。
仕事内容が違えば、必要な人物像も変わります。
「コミュニケーション能力がある人が欲しい」と考える前に、誰と、何について、どのように仕事をするのかを確認します。
仕事内容そのものを整理する方法は、求人票の仕事内容の書き方|求職者に伝わる内容・具体例と見直しポイントで詳しく解説しています。
STEP2|その力が必要になる仕事の場面を特定する
次に、その仕事で判断やコミュニケーションが必要になる場面を洗い出します。
たとえば営業であれば、
- 初回商談で顧客の課題を聞く
- 顧客の要望を社内へ共有する
- 提案内容について制作担当と調整する
- 追加要望があったときに優先順位を整理する
といった場面です。
この段階では、まだ「主体性」「協調性」のような能力名を決めなくても構いません。
実際の仕事で何が起こるのかを先に確認します。
STEP3|その場面で期待する行動を具体化する
仕事の場面が見えたら、そこでどのように動いてほしいのかを考えます。
たとえば、
顧客から要望を聞く
という場面なら、
言われた内容をそのまま受け取るのではなく、背景や目的まで質問して確認する
という行動が必要かもしれません。
「社内へ共有する」という場面なら、
相手が判断できるように、要望・目的・期限を整理して共有する
という行動かもしれません。
人物像を考える際は、
誰と × どんな場面で × どんな行動をするか
まで確認すると、抽象語に頼りにくくなります。
STEP4|求職者が自分の経験と照らせる文章にする
最後に、社内で整理した内容を求人票の文章へ変えます。
社内での表現
コミュニケーション能力が高い人
求人票での表現
顧客の要望を整理し、社内メンバーへ分かりやすく共有しながら業務を進められる方
ポイントは、採用担当者だけが理解できる文章にしないことです。
求職者自身が、自分の過去の経験と照らして判断できるか
という視点で確認します。
求める人物像の悪い例・改善例
ここからは、求人票で使われやすい表現を具体化してみます。
※以下は書き方を説明するための例です。実際の求人では、自社の仕事内容や役割に合わせて調整してください。
「コミュニケーション能力がある方」
悪い例
コミュニケーション能力がある方
これだけでは、話す力なのか、聞く力なのか、調整する力なのかが分かりません。
改善例
顧客の話を聞いて要望や課題を整理し、社内メンバーへ分かりやすく共有できる方
顧客対応ではなく社内調整が中心なら、
複数の関係者へ必要な情報を共有し、認識を合わせながら仕事を進められる方
という表現も考えられます。
「コミュニケーション能力」という言葉を消すこと自体が目的ではありません。
その会社が必要としているコミュニケーションとは、具体的にどのような行動なのかを説明することが重要です。
「主体性のある方」
悪い例
主体性のある方
自ら進んで動ける方
これも範囲が広い表現です。
改善例
業務上の課題に気づいた際、指示を待つだけでなく、周囲と相談しながら改善案を提案・実行できる方
「自分から動く」だけではなく、何のために、誰と、どのように動くことを期待しているのかまで考えます。
「協調性のある方」
悪い例
協調性を持って働ける方
改善例
自分の担当範囲だけで完結させず、進捗や課題を周囲と共有しながら仕事を進められる方
「周囲と仲良くできる」という意味ではなく、仕事上どのような連携が必要なのかまで説明します。
「責任感のある方」
悪い例
責任感を持って仕事に取り組める方
改善例
担当業務の期限と進捗を把握し、遅れが生じそうな場合には早めに関係者へ共有・相談できる方
「責任感」という性格そのものではなく、仕事上期待する行動として表現できます。
「基本的なPCスキルがある方」
これは少し性質が異なります。
「基本的なPCスキル」は人物像というより、仕事をするための能力・応募条件として整理した方が分かりやすい場合があります。
また、「基本的」がどの程度なのかも曖昧です。
必要なのであれば、
Excelで関数を使ったデータ集計ができる方
など、実際の仕事で必要な操作レベルまで具体化します。
求める人物像を増やしすぎない
求める人物像を考えていると、
- 主体性
- 協調性
- 責任感
- 柔軟性
- 挑戦心
- 成長意欲
- コミュニケーション能力
など、「あった方がよいもの」が次々と出てきます。
しかし、すべてを求人票へ並べると、結局どんな人を求めているのか分かりにくくなります。
また、条件を増やしすぎると、求職者が「自分は対象ではない」と判断し、応募をためらう可能性もあります。
求める人物像を追加したくなったら、
「この特徴がなければ、実際の仕事のどこで困るのか?」
と確認してみてください。
明確に説明できないのであれば、本当に求人票へ書く必要があるかを見直す余地があります。
人物像の数に絶対的な正解はありません。
「理想の社員」に必要そうな特徴を網羅するのではなく、その仕事で特に重要な行動・姿勢へ絞ることが重要です。
活躍社員を参考にするときは「属性」ではなく「行動」を見る
求める人物像を整理するとき、現在活躍している社員を参考にする方法もあります。
ただし、
営業部の○○さんみたいな人
だけで終わらせないことが重要です。
見るべきなのは、その人の年齢や性別、学歴などではなく、
どのような仕事の場面で、どのような行動をして、それが仕事の成果につながっているのか
です。
たとえば、
○○さんは調整力が高い
ではなく、
案件の進捗が遅れているときに、関係者へ状況を確認し、優先順位を整理して全員へ共有している
まで確認します。
そこから、
複数の関係者の状況を把握し、優先順位を整理しながら仕事を進められる方
という求人票の表現へ変えられます。
「誰のような人が欲しいか」ではなく、その人のどの行動を再現してほしいのかを見ると、人物像を具体化しやすくなります。
求める人物像を書くときに注意したい表現
求める人物像は、企業が自由に条件を設定してよいわけではありません。
募集・採用では、年齢や性別、公正な採用選考に関するルールにも注意が必要です。
年齢を限定する表現
募集・採用における年齢制限は原則として禁止されています。
一定の例外事由に該当する場合には年齢制限が認められますが、「若い人を採用したい」といった理由だけで自由に年齢条件を設定できるわけではありません。
年齢条件を設ける場合は、例外事由に該当するかまで確認する必要があります。
性別を限定・優遇する表現
募集・採用では、性別を理由として応募条件を変えたり、特定の性別だけを募集したりすることも原則として認められていません。
たとえば、
- 男性歓迎
- 女性のみ募集
といった表現には注意が必要です。
業務の性質などから例外となる場合もありますが、限定的です。
仕事との関係が説明できない属性を基準にしない
厚生労働省が示す公正な採用選考では、応募者に広く門戸を開き、本人の適性・能力に基づいて採用選考を行うことが基本とされています。
本籍・出生地、家族に関すること、宗教、支持政党など、本人の適性・能力と関係しない事項を採用判断の材料として把握することは、就職差別につながるおそれがあります。
求める人物像を考えるときも、
この会社に合いそうだから
だけで属性を追加するのではなく、その条件が仕事をするうえで本当に必要なのかを確認します。
年齢・性別など求人票全体の記載ルールについては、求人票の必須項目とは?2024年改正・固定残業代・NG表現まで解説で詳しく解説しています。
「明るい」「元気」などの抽象的な表現も具体化する
「明るい方」「元気な方」といった表現だけでは、仕事上どのような行動を期待しているのかが分かりにくくなります。
たとえば接客業であれば、
来店されたお客様へ自分から挨拶し、必要に応じて声をかけられる方
のように、実際の仕事で期待する行動へ置き換えられないか確認しましょう。
これは年齢や性別のような法令上の禁止表現として扱うのではなく、人物像を具体的に伝えるという観点から見直すポイントです。
求める人物像を書いた後の4つのチェックポイント
求人票へ記載したら、公開前に次の4点を確認してみてください。
1.抽象語だけで終わっていないか
「主体性」「協調性」「責任感」などを書いている場合、
その言葉が必要になる具体的な仕事場面を説明できるか
を確認します。
説明できないのであれば、まだ人物像が抽象的な可能性があります。
2.仕事内容とつながっているか
仕事内容には書いていないのに、
高い調整力が必要
リーダーシップを発揮できる方
と突然求めていないでしょうか。
求める人物像は仕事内容とセットで確認します。
3.採用要件・応募資格と混ざっていないか
- 法人営業3年以上
- ○○資格必須
- Excelが使える
などの条件ばかりになっている場合、求める人物像ではなく採用要件・応募資格を整理している可能性があります。
条件と行動・姿勢を分けると、求人票も理解しやすくなります。
4.求職者が「自分に当てはまるか」を判断できるか
最後は求職者側から読みます。
採用担当者や現場だけに通じる言葉になっていないか。
求職者が過去の経験を思い浮かべながら、
この経験なら活かせそうだ
自分が働くイメージとは少し違いそうだ
と判断できる情報になっているかを確認します。
まとめ|求める人物像は「抽象語」ではなく仕事上の行動まで具体化する
求人票の求める人物像は、
主体性がある方
コミュニケーション能力がある方
といった理想像を並べるだけでは十分に伝わりません。
考える順番は、
社内で使っている抽象語
↓
その力が必要になる仕事の場面
↓
期待する具体的な行動
↓
求職者が自分の経験と照らせる求人票の表現
です。
求める人物像を具体化しづらい場合、文章表現だけの問題ではないこともあります。
そもそも、
- 何のために採用するのか
- 入社後に何を任せるのか
- どのような成果を期待しているのか
- なぜその経験や能力が必要なのか
が整理できていなければ、人物像も曖昧になります。
求人票の言葉だけを直すのではなく、必要に応じて仕事内容や採用要件まで戻って確認することが、求職者にも伝わる求人票を作るための出発点です。
よくある質問
求める人物像は何個くらい書けばよいですか?
決まった数があるわけではありません。
ただし、「あった方がよい特徴」をすべて並べるのではなく、その仕事で特に重要な行動・姿勢へ絞った方が人物像は伝わりやすくなります。
追加する前に、「この特徴がなければ、仕事のどこで困るのか」を説明できるか確認してみてください。
「コミュニケーション能力がある方」と書いてはいけませんか?
言葉そのものを使ってはいけないという意味ではありません。
ただし、「コミュニケーション能力」が何を指すのかは仕事によって異なります。
顧客の話を聞く力なのか、社内へ説明する力なのか、関係者を調整する力なのかまで具体化すると、求職者が判断しやすくなります。
求める人物像と応募資格は同じですか?
求人媒体によって項目名や使われ方は異なります。
この記事では、応募資格を「応募時点で必要となる条件」、求める人物像を「仕事で期待する行動や仕事の進め方・姿勢を求職者向けに表したもの」と整理しています。
実際の求人票では名称にこだわりすぎず、必須となる条件と、仕事上期待する行動を分けて整理すると分かりやすくなります。


