求人票の書き方|作成前の準備から必須項目・具体例・公開前の確認まで

求人票の書き方を、採用背景・仕事内容・採用要件の整理から、法律上の明示事項、募集背景・応募条件・給与への落とし込み、具体例、公開前チェックまで解説します。
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求人票を作るとき、求人媒体やハローワークの入力画面を開き、上から順番に項目を埋めていないでしょうか。
求人募集では、業務内容や就業場所、賃金、労働時間など、求職者へ明示する必要がある労働条件があります。ただし、必要な項目を埋めただけでは、「入社したら何をするのか」「自分の経験で応募できるのか」「どのような環境で働くのか」を求職者が判断するには情報が足りない場合があります。
サイヨミでは、求人票を書く前に、
なぜ採用するのか
→ 何を任せるのか
→ その仕事に何が必要なのか
を整理することをおすすめしています。
そのうえで、法律上必要な情報を確認し、募集背景、仕事内容、応募条件、給与、働き方などへ落とし込みます。
この記事では、求人票の各項目を個別に説明するだけではなく、求人票全体をどのような順番で作ればよいのかを解説します。
求人票は「項目を埋める前」に整理することがある
求人票には、業務内容、契約期間、就業場所、就業時間、賃金など、募集時に明示が必要な労働条件があります。
一方で、法律上必要な情報がそろっていることと、求職者が応募するか判断できる求人票になっていることは同じではありません。
たとえば、次のように分けて考えると整理しやすくなります。
| 法令・労働条件として確認する情報 | 応募判断のために検討したい情報 |
|---|---|
| 業務内容 | なぜ募集しているのか |
| 就業場所 | 入社後に期待される役割 |
| 賃金 | チームや仕事の進め方 |
| 勤務時間・休日 | 働き方の実態 |
| 契約期間 | 入社後の教育・フォロー |
| 各種保険など | 選考の流れなど |
右側の情報がすべての求人に必要という意味ではありません。
重要なのは、法律上必要な情報を確認したうえで、今回採用したい人が応募を判断するために不足している情報は何かを考えることです。
そのためにも、求人票を書き始める前に採用背景・任せる仕事・採用要件を整理しておくと、各項目の内容を一貫させやすくなります。
求人票を書く前に整理する3つのこと
求人票の文章を考える前に、まず社内で次の3点を確認します。
1.なぜ採用するのか
最初に確認するのは、なぜ今このポジションを採用する必要があるのかです。
たとえば、
- 退職者が出たため、その業務を引き継いでもらいたい
- 顧客が増え、現在のメンバーだけでは対応しきれなくなった
- 新規事業を立ち上げるため、新しい専門性が必要になった
- 将来の組織拡大を見据えて、マネージャー候補を採用したい
では、採用する人に期待する役割が異なります。
「欠員補充」「増員」とだけ決めるのではなく、採用によって現在の組織をどのような状態へ変えたいのかまで確認しておくと、仕事内容や応募条件も整理しやすくなります。
募集背景の具体的な書き方や、増員・欠員・新規事業などの例文については、別記事「求人票の募集背景の書き方」で詳しく解説しています。
2.入社後に任せる仕事・役割は何か
次に、採用した人へ実際に何を任せるのかを整理します。
同じ「営業職」でも、
- 新規顧客を開拓する
- 既存顧客をフォローする
- 問い合わせがあった顧客へ提案する
- 営業戦略やメンバー管理まで担当する
では、必要な経験や能力が変わります。
この段階では求人文章を作るのではなく、誰に対して、何を、どこまで担当する仕事なのかを社内で明確にします。
仕事内容を具体化する方法については、求人票の仕事内容の書き方|求職者に伝わる内容・具体例と見直しポイントで詳しく解説しています。
3.何が入社時点で必要なのか
仕事内容と役割が整理できたら、必要な経験・スキル・資格などを考えます。
ここで注意したいのは、「あればうれしいもの」まで、すべて必須条件にしないことです。
たとえば、
| 条件 | 整理 |
|---|---|
| 法人顧客との折衝経験 | 必須 |
| SaaS・IT商材の営業経験 | 歓迎 |
| 自社CRMの操作経験 | 入社後に習得可能 |
のように分けられます。
条件を増やす前に、
「この条件がない人は、本当に採用対象から外すのか」
を確認します。
採用要件の整理方法については、採用要件とは?「なぜ必要か」から逆算する作り方と具体例で詳しく解説しています。
求人票で法律上確認する主な記載項目
求人票を作る際は、候補者への伝え方を考える前提として、募集時に必要な労働条件の明示を確認します。
主な項目は次のとおりです。
| 項目 | 主に確認する内容 |
|---|---|
| 業務内容 | 雇入れ直後の業務、業務の変更の範囲 |
| 契約期間 | 無期・有期 |
| 有期契約 | 更新基準、通算契約期間・更新回数の上限など |
| 試用期間 | 有無、期間、期間中の労働条件 |
| 就業場所 | 雇入れ直後の勤務地、就業場所の変更の範囲 |
| 就業時間・休日 | 始業・終業、休憩、休日、時間外労働など |
| 賃金 | 基本給、手当など |
| 加入保険 | 社会保険・労働保険の適用 |
| 募集者 | 労働者を募集する者の氏名または名称 |
| 受動喫煙防止措置 | 就業場所における措置 |
| 派遣労働 | 派遣労働者として雇用する場合はその旨 |
実際に何を明示する必要があるかは、雇用形態や労働条件などによっても変わります。
特に固定残業代を採用している場合などは、単に「月給○万円」とするのではなく、必要な表示内容を確認してください。
詳しくは、求人票の必須項目とは?2024年改正・固定残業代・NG表現まで解説で整理しています。
2024年4月から追加された3つの明示事項
2024年4月1日から、職業安定法施行規則の改正により、募集時等に次の事項を新たに明示する必要があります。
- 従事すべき業務の変更の範囲
- 就業場所の変更の範囲
- 有期労働契約を更新する場合の基準
有期労働契約については、通算契約期間または更新回数の上限がある場合、その内容も含まれます。
「変更の範囲」は、雇入れ直後だけではなく、締結する労働契約期間中に将来変更される可能性のある範囲を指します。
なお、これは求人票を魅力的にするための工夫ではなく、募集時等に確認すべき労働条件の明示ルールです。
求人票の書き方を6ステップで整理する
作成前の情報と労働条件を確認したら、実際の求人票へ落とし込みます。
ここでは、次の6ステップで整理します。
募集背景
→ 仕事内容・役割
→ 応募条件
→ 給与・働き方
→ 応募判断に必要な情報
→ 全体の整合性
これは法律で定められた求人票の作成順ではありません。求人票全体を整理するための、実務上の一つの考え方です。
STEP1.募集背景は「なぜこの求人があるのか」を伝える
募集背景そのものは、法律上の労働条件明示事項ではありません。
一方で、募集背景が分かると、求職者は「なぜこのポジションを募集しているのか」「入社後に何を期待されるのか」を理解しやすくなります。
たとえば、
業務拡大のため増員募集します。
だけでは、何が拡大しているのか、入社後に何を担当するのかまでは分かりません。
もう一段具体化すると、
既存顧客からの問い合わせ増加に伴い、営業体制を強化するための増員募集です。入社後は既存顧客への提案・フォローから担当していただきます。
となります。
文章を長くすることが目的ではありません。
「なぜ募集するのか」と「入社後に任せる役割」をつなげることがポイントです。
STEP2.仕事内容は入社後の仕事が分かる状態にする
仕事内容では、「営業業務全般」「一般事務」といった職種名の言い換えだけで終わらせず、実際に担当する仕事を具体化します。
少なくとも、
- 主に何を担当するのか
- 誰を相手にする仕事なのか
- どこまで担当するのか
- 入社後に最初に任せる仕事は何か
といった情報を確認します。
たとえば、
既存顧客を担当し、自社サービスの利用状況の確認や追加提案を行います。入社後は先輩社員との同行から始め、商品知識や提案方法を習得した後、担当顧客を引き継ぎます。
とすると、単に「法人営業」と書くよりも仕事のイメージを持ちやすくなります。
具体化の方法やBefore/After例は、求人票の仕事内容の書き方で解説しています。
STEP3.応募条件は必須と歓迎を分ける
応募条件は、「理想の人が持っているもの」ではなく、今回の仕事を任せるために何が必要なのかから考えます。
たとえば、
必須
- 法人顧客との折衝経験
歓迎
- SaaS・IT商材の営業経験
入社後に習得可能
- 自社サービスの知識
- 社内CRMの操作
と整理できます。
また、「コミュニケーション能力が高い方」「主体性がある方」などの抽象的な言葉だけを条件にすると、人によって解釈が変わります。
必要であれば、
顧客から必要な情報を聞き取り、社内の関係者と調整しながら提案を進められる方
のように、実際の仕事と結びつけて考えます。
仕事に必要な行動を求人上の人物像として伝える方法は、求人票の求める人物像の書き方で詳しく確認できます。
年齢・性別を安易に条件にしない
採用ターゲットを考えることと、求人上の応募条件を自由に設定できることは別です。
労働施策総合推進法では、募集・採用における年齢制限は原則として禁止されています。求人票では年齢不問としていても、実際には年齢を理由に応募を断ったり、採否を判断したりすることも法の規定に反します。
例外事由に該当する場合を除き、「20代限定」など企業側の希望だけを理由に年齢条件を設定することはできません。
また、男女雇用機会均等法では、募集・採用について、性別にかかわりなく均等な機会を与えることが求められています。
採用要件を作るときは、「自社が採りたい人」だけでなく、その条件を採用基準として設定して問題ないかも確認しましょう。
STEP4.給与・勤務時間・休日・勤務地などを正確に書く
給与・勤務時間・休日・勤務地などの条件は、魅力的に見せることよりも、まず実態と一致した情報を正確に伝えることが前提です。
たとえば、
- 月給の内訳
- 固定残業代の有無
- 勤務時間
- 時間外労働
- 休日
- 勤務地
- 転勤等を含む就業場所の変更の範囲
- 試用期間中の条件
などを確認します。
条件を曖昧にして応募を増やそうとするのではなく、求職者が入社後の働き方を判断できる状態にします。
固定残業代などの具体的な記載ルールは、求人票の必須項目の記事もあわせて確認してください。
STEP5.応募判断に必要な情報を補う
法律上必要な労働条件を確認し、募集背景・仕事内容・応募条件を整理したら、求職者の立場から求人票を読み直します。
たとえば仕事内容が分かっても、
- 誰と働くのか
- 入社後にどのように仕事を覚えるのか
- チームではどのように役割分担しているのか
- 選考はどのような流れなのか
などが分からないことがあります。
必要に応じて、
- チームの人数や構成
- 上司・同僚との役割分担
- 入社後の教育・フォロー
- 使用するツール
- 仕事の進め方
- 選考フロー
- 働き方の実態
などを補います。
すべてを求人票へ詰め込む必要はありません。
今回採用したい候補者が「応募するかどうか」を判断するとき、何が分からないままになっているかを確認します。
福利厚生の制度や利用条件をどう伝えるかは、求人票の福利厚生の書き方で詳しく整理しています。
STEP6.求人票全体で話がつながっているか確認する
最後に、各項目を別々に確認するだけでなく、求人票全体の整合性を見ます。
たとえば、
未経験者歓迎
と書いている一方で、
入社初月から一人で新規顧客への提案を担当
となっていれば、「本当に未経験でも大丈夫なのか」という疑問が生まれます。
また、
将来のマネージャー候補
と募集しているのに、仕事内容や期待される役割にチーム運営や育成につながる要素がなければ、ポジションの位置づけが分かりにくくなります。
求人票は、
募集背景
→ 仕事内容
→ 応募条件
→ 給与・働き方
が一つの話としてつながっているかを確認しましょう。
求人票の書き方を具体例で確認する
ここでは、架空の法人営業求人を例に、求人票を書く前の整理から文章へ落とし込む流れを確認します。
まず社内で、次のように整理したとします。
| 整理する項目 | 内容 |
|---|---|
| 採用背景 | 顧客数の増加に伴い営業体制を強化したい |
| 任せる仕事 | 既存顧客への提案・フォロー |
| 入社後の目標 | 一定期間後に担当顧客を持つ |
| 必須条件 | 法人顧客との折衝経験 |
| 歓迎条件 | SaaS・IT商材の営業経験 |
| 入社後に習得可能 | 商品知識、CRM操作 |
| 働き方 | 本社勤務、一部リモート可 |
| 条件 | 月給、勤務時間、休日などを社内規程と確認 |
ここまで整理できれば、募集背景・仕事内容・応募条件をつなげて書きやすくなります。
募集背景の例
顧客数の増加に伴い、既存顧客へのフォロー体制を強化するため、新たに営業メンバーを募集します。
仕事内容の例
既存顧客への利用状況の確認や追加提案を担当します。入社後は商品知識や社内システムの使い方を学び、先輩社員との同行を経て担当顧客を引き継ぎます。
応募条件の例
必須
法人顧客との折衝経験歓迎
SaaS・IT商材の営業経験
この例で重要なのは、文章表現そのものではありません。
採用する理由
→ 任せる仕事
→ 必要な条件
を先に整理したことで、求人票の各項目がつながっている点です。
実際の求人票では、これに加えて給与、勤務地、就業時間、休日、契約期間など必要な労働条件を正確に明示します。
求人票でよくある5つの失敗
求人票を作成・見直すときは、次のような状態になっていないか確認しましょう。
| よくある状態 | 見直すこと |
|---|---|
| 過去の求人票をそのまま流用している | 現在の採用理由・仕事内容・条件と一致しているか |
| 仕事内容が「営業全般」など抽象的 | 入社後に主に担当する業務が分かるか |
| 必須条件が多い | 本当に入社時点から必要な条件か |
| 理念や会社PRが中心 | 求職者が仕事・条件を判断できる情報があるか |
| 求人票と実際の条件が違う | 現場・社内規程・実際に提示する条件と整合しているか |
過去求人や他社求人は、そのまま使わない
以前の求人票をベースにすること自体が問題なのではありません。
ただし、採用理由や仕事内容、条件が変わっているにもかかわらず、そのまま使い続ければ、現在の採用と求人票にズレが生じます。
他社求人も同じです。
競合求人は、候補者が自社と何を比較しているのかを確認するためには有効ですが、他社で使われている仕事内容や魅力表現をそのまま自社へ移すことはできません。
自社の採用背景・仕事内容・条件から考えることが前提です。
公開前は「法令・実態・求職者」の3つの視点で確認する
求人票を書き終えたら、誤字脱字だけではなく、次の3つの視点で確認します。
| 視点 | 確認すること |
|---|---|
| 法令 | 必要な労働条件を適切に明示しているか |
| 実態 | 実際の仕事内容・給与・勤務条件と食い違っていないか |
| 求職者 | 応募するか判断できる情報になっているか |
法令上問題がないか
自社の求人について、
- 2024年4月から追加された明示事項
- 有期契約の更新基準
- 試用期間
- 固定残業代
- 年齢・性別に関する条件
など、該当する項目を確認します。
また、採用選考では、応募者の適性・能力に関係しない事項の把握にも注意が必要です。
厚生労働省は、
- 本籍・出生地
- 家族
- 住宅状況
- 生活環境・家庭環境
- 宗教
- 支持政党
- 人生観・生活信条
- 思想
などを応募用紙や面接等で把握することは、就職差別につながるおそれがあるとして注意を促しています。
求人票だけでなく、その後の応募フォームや選考まで含めて確認しましょう。
実際の仕事内容・条件と合っているか
求人票の内容を、人事だけで判断しないことも重要です。
必要に応じて現場責任者や経営者にも確認し、
- 実際に担当する仕事
- 給与
- 勤務時間
- 休日
- 勤務地
- 入社後の担当範囲
などと食い違っていないかを見ます。
「魅力的に見える表現」よりも、実態との一致を優先します。
求人を知らない人でも判断できるか
最後に、会社や仕事を知らない人の立場から求人票を読みます。
たとえば、
- 社内用語や略称がそのまま使われていないか
- 仕事内容が職種名だけになっていないか
- 必須条件と歓迎条件の違いが分かるか
- 給与や働き方を判断できるか
- 「アットホーム」「成長できる」など抽象的な表現だけになっていないか
を確認します。
自社では当たり前になっている情報ほど、求人票から抜けていることがあります。
求人票を直しても応募が来ないなら、求人票以外も確認する
求人票を改善したからといって、必ず応募が増えるわけではありません。
応募が来ない原因が、求人票そのものではない場合もあるためです。
求人掲載後は、
表示
→ 求人詳細の閲覧
→ 応募
のどこで候補者が減っているのかを確認します。
たとえば、そもそも求人がほとんど表示されていない場合は、求人票本文よりも先に、
- 採用チャネル
- 職種名
- 採用ターゲットとの媒体の相性
などを確認する必要があります。
一方、求人詳細は見られているのに応募されないのであれば、
- 仕事内容
- 応募条件
- 給与・働き方
- 求職者に不足している情報
- 応募導線
などを重点的に確認します。
詳しい切り分け方は、求人を出しても応募が来ない原因は?求人票を直す前に確認したいポイントで解説しています。
数値を使って採用活動を見直す方法については、採用KPIとは?見るべき指標・設定方法と改善につなげる見方も参考にしてください。
まとめ|求人票は書き始める前の整理で内容が変わる
求人票を作るときは、入力欄を上から埋めるところから始めるのではなく、
なぜ採用するのか
→ 何を任せるのか
→ その仕事に何が必要なのか
を先に整理すると、募集背景・仕事内容・応募条件を一貫させやすくなります。
そのうえで、募集時に明示が必要な労働条件を確認し、求職者が応募を判断するために不足している情報を補います。
公開前には、
法令上問題がないか
→ 実際の仕事内容・条件と合っているか
→ 求職者が応募判断できるか
の3つの視点から確認しましょう。
また、求人を公開しても応募が来ない場合は、求人票だけを書き直すのではなく、表示・閲覧・応募のどこに課題があるのかを切り分けることも重要です。
まずは現在使っている求人票について、「なぜ採用するのか」「何を任せるのか」「なぜその応募条件が必要なのか」が一つにつながっているかを確認してみてください。
求人票だけでなく、採用ターゲットや競合求人、現在の採用施策まで含めて見直したい場合は、サイヨミの「採用の棚卸し」で1ポジションの採用状況を整理しています。


